内容説明
ストーリーを書き始めるまでのストーリー
片岡義男の小説にはストーリーを書くという行為そのものを考察し、主人公が登場人物たちと会話し、その成り行きが小説として提示されている作品がいくつもある。この小説もまさにその1つであり、本格的な長篇だ。2つの島というヴィジョン、双子というヴィジョンはストーリーと、ストーリーを書くという2つのレベルに呼応し、やがてそれらは溶け合って1つの小説になる。この小説で重要なのは、プラス島の歴史=人々の時間、という大切な要素がそこに呼び出されていることである。
※作家の敬愛する写真家・佐藤秀明氏撮影の写真を収録
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほほほ
22
恋愛小説を書くためにハワイに来た作家が主人公。小説のアイデアとなる種を探し、日常生活のいちいちに目を凝らして過ごすうちに、ハワイという島の持つたくさんのドラマ性に気付いていく。小説を書くのってすごく大変なこと、自分には関係ないことと思っていたけど、案外シンプルで、別に小説家じゃなくても人は自分の人生を物語にすることができるんだ、となんだか楽しくなりました。2014/12/08
myunclek
13
1964年と言えば東京オリンピックが開催せれた年。戦後日本復興のまさに象徴の年代だ。そんな時代に、日本とハワイを縦横に旅できた片岡義男には嫉妬しちゃいますね。文中に登場するカメラマンなんか、1954年から島の写真を撮り続けていたとか。ハワイを拠点にしたお洒落な小説。フィクションだとしても、貧乏人には書けない物語だな(笑)2014/04/26
prophet-5
1
片岡のハワイものは「限りなき夏1」が一番好きだけど、二番目はこの作品かな...片岡のハワイは、ハワイを旅した気分にしてくれるのではなく、住んでる気分にしてくれる...2013/03/27
TAC
0
87年読了
オガタケンイチ
0
★★★★★★★★2018/06/22