内容説明
「地べたでもなくて、空中でもないところ」を
彼ら、彼女らは、季節は、めぐっていく。
サンダーバード。オールズモービル。
リンカン・コンチネンタル・マーク4。
この日本、という国を走るにはいささか大きいクルマたちが
梅雨前線が停滞する東京湾岸をすべっていく。
18歳か19歳。一番の年かさでも、せいぜい24歳。
1人の死に始まり、出会い、いくつかの別れ、旅立ちがある。
すべては時とともに移ろっていく。
青春期から大人へ移行する時期の痛みを
東京湾岸の風景とともにやさしく抱きとめた長編小説。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。