道順は彼女に訊く

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紙書籍版価格 ¥754
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道順は彼女に訊く

  • ISBN:9784041371930

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内容説明

これは謎についての小説ではなく、関係についての小説である

一人のフリー・ライターがいる。彼は引越しに伴う書類の整理中、ふと昔の雑誌記事に目を留める。5年前、25歳の女性が失踪したことをめぐる記事だ。記事と、その後どうなったかについて興味をそそられた彼は、取材を開始。多くの人物に会う。記事を書いたライター、失踪した女性の友人、両親……調べながら彼は、これは犯罪や事件ではなく、失踪者自身の意志ではないかと推測するに至る。そして作者が「あとがき」で書くように、小説の核心は、なぜ? という謎以上に女性を中心とした関係性そのものにあるのだ。

【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/

目次

第一章  五年前のこと
第二章  最初の取材者
第三章  裸婦は語る
第四章  暗室で夕食
第五章  写真と油絵
第六章  父親の見識
第七章  二階の部屋
第八章  上司や同僚たちが語る
第九章  それまでの一時間三十分
第十章  髪を切った女
第十一章 ひとり二役
第十二章 ふたたび最初の取材者
第十三章 詩人は結論を出した
第十四章 彼女が見たはずの恐怖
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ほほほ

24
片岡義男さんのミステリー。5年前に突然失踪し、今も行方不明である美人OLについて調査していくという内容。自分というものの存在について、ゾワッとくることを感じさせられました。わたしの場合、鏡を見るときより、写真を見るときより、他人から見た自分について聞くときより、自分で自分の名前などを口に出している時に、誰だ?これ?と気が遠くなる時があります。都会派でおしゃれ。エスプレッソばかり飲む主人公。村上春樹をもっとシンプルにした感じで、村上春樹に時々くどさを感じるわたしには片岡さんの方がちょうどよくて好きかも。2014/09/27

rakim

9
実は再読であったことを読み始めて知りました。何故彼女はそうしたのか?ミステリーとしてはスッキリとした解決とは言えないけれど、個人的にはかなり好みであることをいまさらながらに発見。読みようによってはシュールな感覚もあり、実は深層心理をくすぐる部分もあり、20年近く前?の初読のころよりも新鮮。未読の片岡さんの本を読んでみようと思います。2013/07/21

タイコウチ

6
人物の内面に直接触れることを避け、行動と事物の関係を描くことで、女性の失踪事件の謎解きを語る。あまりに理想的な人物設定と特異な日本語表現を受けつけない人もいるだろうが、私には心地よく刺激的な読書体験だった。2009/08/18

ツキノ

4
単行本発売当時に読み、ぐんぐん惹きつけられたストーリー。ある意味ミステリ。勤務する図書館に文庫本があったので、引用しつつ再読。内容は覚えていたのだけれど、ラストが、わたしの中で完全に映像として違うものができあがっていたことに驚いた。それほど映像が浮かんでくるストーリーなのです。名作だと思う。2011/10/02

prophet-5

2
ミステリー的に捉えてしまうと伏線が回収出来ていなかったり、そもそもの部分で消化不良感はあるが、美代子を媒介してそれに関わるヒト達の関係性の流れが主軸と考えれば納得は出来る作品。イメージしやすい片岡義男の作品ではないが、やっぱり片岡義男の作品。2013/02/13

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