内容説明
見ることは通り過ぎること。
すべて自分のものでない風景の中を。
端的なタイトルがこの短編のすべてを表している。
通り過ぎること、それがすべて。
町を通り過ぎながら、見る。
徒歩や自転車やオートバイのように体を外気にさらさない
四角い個室のまま自動車で移動することで
見ることは純化される。
通り過ぎることでカメラ・アイになる。
そこに対向車が、ガス・ステーションが、林が、湖が、
広告の看板が、遊園地が、ビーチパラソルが、教会が映る。
主人公は、カメラではなく、人間であることを忘れないように(?)
時折、リンゴをかじる。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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- 和書
- 踊る大捜査線 扶桑社文庫