内容説明
雑誌とは、リラックスした一つのトーンである
雑誌であり、同時に本でもある稀有の試みだ。前半部は片岡義男に対するインタヴュー、という形式が取られ、インタヴュアーのクレジットはないがどう考えても作家本人である。そして写真がくる。かつて自身が出演していたラジオ番組『気まぐれ飛行船』のスタジオを撮った貴重な1枚があったりする。セルフインタヴューには植草甚一さんの思い出が召還され、そして気が付くと、主題というほど前景化していないが作者の「フェミニズム」に対する深い関心がうかがえる。この雑誌=本には、あきらかな一つのトーンがある。
※写真:片岡義男
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
目次
長いインタヴュー
『語ることによるエッセイ』1
7枚ずつひと組の、ジャズのLPをながめる
五十年まえの「名画」を二本、観た。そしてぼくは、昔の二枚目男優たちの限界を知った
彼の後輪が滑った
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
88
片岡さんらしい1冊。前半は小説や音楽、映画についてのエッセイで、後半はオートバイをテーマにした小説。前半の小説について語るエッセイが刺激的だった。リサ・オルターの『ほかの女たち』といった小説を紹介しながら、フェミニズムがアメリカの社会を大きく変化させたことが考察される。同時に固定的な男女の役割にこだわり続ける男性に、厳しい批判が向けられる。男性の私には耳の痛い部分もあった。後半のオートバイの小説は乾いた文体の中に、叙情性が感じられるところが好ましかった。2018/06/23
たーくん
4
再読→→→この本は、個人的な雑誌です。著者が自分の雑誌を作る、その第1号です。前半は、長いインタヴュー。語ることによるエッセイの試みです。ジェイ・マキナニーの小説の話からはじまり、フェミニズムへの共感をへて、ゲイリー・ハートの問題へと広がります。後半は、オートバイの短文集が14編。雑誌ぜんたいを今回は著者ひとりで作ったのですが、やがていろんな素晴らしい人たちが参加してくれます。 2020/08/21
りんご
2
雑誌的な本。エッセイと短編小説、そして写真です2023/01/16
TAC
0
87年読了