内容説明
戦友、という間柄の2人の男にとって
悲劇は戦後になってからやってくる。
私立探偵アーロン・マッケルウェイ・シリーズの一編。
今回の依頼は、行方不明になっている男を探し当てることだ。
辻褄の合わない謎の絵葉書と、男に婚約者がいたことだけを手がかりに
女性探偵のアストリッドと助手のアーロンは調査を開始する。
残念ながらしかし、何の進展も見られない。
行方不明の男は原爆投下に係わる仕事をしており
その戦友を訪ねても、何の手がかりも得られない。
だが作者はあっさり、この失踪の謎を読者に明かす。
最後まで知らないのは物語の中の探偵2人だけ、という
トリッキーな一編である。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。