内容説明
見る前に翔べ、と悪い星がささやく。
ティーン向けのレーベルであるコバルト文庫に収録された一編。
冒頭、朝の新宿駅のシーンに象徴されるように
17歳の女子高生2人は、朝のラッシュ・アワーで怒涛のように流れてくる人波に逆行し、そこから外れて生きる存在として描かれている。
通常のヘテロセクシュアルからの逸脱。死への傾斜。
生まれてくるべき星は、ここではなかったのかもしれない。
だから、「翔びなさい」と別の星が言う。
しかし彼女は、この星の現実の中でしか、飛ぶことはできないのだ。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。