内容説明
波が呼んだら、どこまでも行く。
幸雄と貴志。波乗りを何よりも愛する2人は
そのあいだに麻衣子、という気になる存在をはさみながらも
常に海を、波を第一に考えることにおいて共通している。
ある時2人は、小さな町の映画館で、ポルノ仕立ての安い映画を観た。
そこに彼らが観たものは、他の観客がまるで目にとめないもの、
画面を横に抜けていく完璧なチューブ波だ。
素朴すぎる情熱と手段で、
彼らはその波が生起する場所を、ついに見つける。
あとはもう、いつまでもそこに留まるだけだ。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。