内容説明
この世界が見える場所で、しかし少し隔離されながら、2人がしたこと
男女がいる。ホテルの中だったり、
セダンやクーペに乗っていたり、そうして
この世界が見えながら、囲みの中に区切られた空間で
彼女たち、彼らは会話を交し、服を脱ぎ、
いま自分たちが行なっていることの意味を反芻したり
あらぬ想像をめぐらしたりする。そんな情景が30。
せわしない世の流れからやや隔たって、いくらかスローな
静かな日々の断片がここにある。
小説による季節のアルバムを聞こう。
※作家の敬愛する写真家・佐藤秀明氏撮影の写真を収録
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
目次
ベッドが三つある部屋
これはメロドラマ
ブルーの選びかた
理想的な窓
窓にカーテン
昼寝
思い出の夏
彼女と彼1
彼女と彼2
電話をかけるだけ
コパトーン
彼と別れた彼女
ケチャップはあまりかけない
セーターを脱ぐ
飽きたら言って
海の香りと電話ブース
ふたりでいても淋しい
切り花
いつも小道具
交差点の横断歩道
桜前線
雪が降る
小さな花
林檎が燃える、あるいは飛ぶ
来てくれた彼女
日曜日の白い月
縛られてみないか
ベッドに戻れ
微笑の研究
雨の夜