内容説明
ごく内輪だけの写真展
一人の女性と一人の男性が会うのはいつもホテルの部屋だ。
そして男は「見てほしいものがある」と言いつつ
躊躇もあり、もったいぶって、しかしとうとう「それ」、つまり
写真を見てもらうことになる。
被写体はすべて同じ。明瞭で、かなりの枚数がある。
すべて自分で自分を撮ったものだ。
だが果たして「それ」は自分か?
嫌悪よりも笑いを表す女性だからこそ、こうして見せることもできる。
とても公共の場に晒すことはできないが
やがてホテルの部屋が、ごく内輪だけの展覧会場と化すかもしれない。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
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