内容説明
すべての信号が赤の日と、
すべての信号がグリーンの日。
オートバイで走る、ということによってしか
知りえない人の魅力、というものがあるのだろう。
男は前を走る赤いオープン・カーの後ろに付いたまま離れない。
女も、普通なら気味の悪い尾行と思えるこの行為が
なぜかしら心地いい。こうして2人は路上で出会った。
路上の出会い。それは、片岡義男の小説の黄金のパターンだ。
その日、彼女の自動車はそのボディの色のように
ことごとく赤信号で止められた。だがその1年後。
今度はことごとく信号がグリーンの道を走る運命にある。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。80年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。