内容説明
ワン・キッスは、最後のキス。
片岡義男の小説において
「彼女」と「彼」は偶然に出会う。
昨日までは互いの存在をまるで知らなかった同士だ。
夜のスナック。同じ曲をジュークボックスでかける、という偶然。
帰る家がない、という出来過ぎの状況。
夜の東京の、遊歩道。世田谷、環七、環八あたり。
2人が歩く、昼とは違う表情の東京が美しい。
やがて偶然(またしても偶然だ)に自転車を手に入れる。
自転車によって、2人の移動エリアは一気に拡大する。
そしてワン・キッス。それがまさかの、最後のキス。
【著者】
片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。