ケアする声のメディア - ホスピタルラジオという希望

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ケアする声のメディア - ホスピタルラジオという希望

  • 著者名:小川明子
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 青弓社(2024/04発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235350

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内容説明

病院内の小さなスタジオで放送されるホスピタルラジオ。サンドウィッチマンが出演するNHK『病院ラジオ』で日本でも知られるようになったが、発祥の地イギリスではすでに大病院の多くで設置し運営している。そもそも、なぜ病院内でラジオ放送が始まったのか。声のメディアは、どのようにしてケアの役割を担っているのか。

イギリスのホスピタルラジオの歴史や事例を押さえたうえで、日本の藤田医科大学のホスピタルラジオを紹介する。ボランティアが放送し、患者がベッドサイドで耳を傾け、医療従事者や当事者リスナー同士のコミュニケーションも促進する「ケアするメディア」の実践を描き出す。

また、ホスピタルラジオにとどまらず、高齢者や依存症患者の孤立を防ぐ音声メディアの事例も取り上げ、閉じられた空間に暮らし、社会から排除される人々をゆるやかにつなぐ声がもつ可能性を検証する。

本書では、これまで研究が手薄だったラジオとケアをめぐって、患者や医療従事者だけでなく、社会の周縁に生きる人々を包摂し、コミュニケーションを促し、相互にケアをしあえる環境を作り出す可能性や、音声メディアを介したケアの倫理を展望する。

目次

序 章 ケアするラジオ
 1 閉鎖空間としての病院
 2 ホスピタルラジオとの出合い
 3 話題になった『病院ラジオ』――サンドウィッチマンと病棟の人たち
 4 ケアの倫理
 5 ケアのコミュニケーション
 6 ホスピタルラジオ研究の射程
 7 ケアメディアとしてのラジオと声のコンテンツ
 8 本書の構成

第1章 「声のコンテンツ」を介したコミュニケーション
 1 寄り添う音声――孤独の緩和、充実した一人の時間
 2 想像される他者の世界
 3 音でデザインする生活――社会とつながる音声のコミュニケーション
 4 パーソナリティーとリスナーのパラソーシャルな関係
 5 「承認」のコミュニケーション
 6 ラジオとコミュニティ
 7 リクエストとメッセージ
 8 「声」の共生に向けて

第2章 イギリスでのホスピタルラジオの歴史――放送空間を自作する快楽
 1 イギリスのラジオ放送の誕生
 2 第二次世界大戦後のホスピタルラジオ
 3 ケーブルラジオとホスピタルラジオ
 4 ホスピタルラジオ・サウザンプトンの歴史
 5 ヨーロッパの自由ラジオ
 6 新たな聴取システム――Patient LineとHospedia
 7 ケアされるのは誰か

第3章 イギリスのホスピタルラジオの現在
 1 ホスピタルラジオの運営
 2 ホスピタルラジオの効能
 3 病院と地域をつなげるラジオ――ウィンチェスター・ラジオの挑戦
 4 イギリスホスピタルラジオのこれから

第4章 病院ラジオを立ち上げる――藤田医科大学「フジタイム」を例に
 1 院内ラジオ「フジタイム」の誕生
 2 「フジタイム」の三年間
 3 病院にとっての効果
 4 患者とのコミュニケーション
 5 日本の院内ラジオの可能性と課題

第5章 孤立を防ぐ小さなラジオ――二つの実践から
 1 高齢者施設での実験ラジオ
 2 「語る」というケアのかたち――生きづらさを伝えるコミュニティラジオ
 3 ケアするコミュニティFM構想

第6章 声のコンテンツとケア
 1 〈対話〉という根源的ケアの重要性
 2 応答という「救済」――ナースコールとしてのホスピタルラジオ
 3 リクエスト――見えない他者との連帯
 4 メッセージ――未来に向けたセルフ・ナラティブの構築
 5 新たな自己物語を構築するための〈対話〉
 6 ケアしあうナラティブ
 7 ケアされるボランティア
 8 第三者による社会的処方――非職業・非家族としてのケア

終 章 再び、これからのラジオ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

48
【ホスピタルラジオは、声のメディアとしてどのようにケアの役割を担っているのか】あしぶえさんのレビューで本書を教えられ――。英国の歴史や日本の病院の実践などから、ケアのコミュニケーションを展望する書。<メディアを使って、孤独を感じる人々、排除されがちな人々を、どのようにケアできるのかという問題意識に基づき、高齢者施設や、地域社会で多くの人々が出入りしないような福祉事業所の施設、あるいは自室にとどまる人々へと対象の範囲を広げ、互いにケアし合える状況をメディアがどのように設定できるのかを問うことになる>と。⇒2024/07/02

マカロニ マカロン

17
個人の感想です:B+。読み友さんから頂戴した本。ホスピタルラジオと言う概念を知らず、TV録画でサンドさんの『病院ラジオ』も見た。英国から始まった試みで日本でも2019年に藤田医科大学病院で「フジタイム」を開始。「なんとなく、答えなんかいらないから、誰かにいまの気持ちをわかってほしい。誰かとつながっていたい」というコンセプト。私も入院していた期間、よくラジオを聞いた。病院内ラジオのように同じ境遇の人同士でリクエスト曲やメッセージを流すというのは、患者、家族、医療関係者に寄り添ってくれるところが良いと思った2024/09/19

まゆみ

6
ニッポン放送で「あなたが認めたくないものは何ですか?どんなに辛くともそれを認めれば道はひらけます。」とリスナーに伝え続けている人生相談の番組を思い浮かべました。小さなコミュニティの中のラジオコンテンツではないけれど、著者の言うところの、一人で考えていると負のスパイラルに陥りがちな悩みや愚痴を同じような経験をしたことがある誰かに聞いてもらう、あるいは他の人の経験談を聞いて悩んでいるのは自分だけではないと感じて状況の新たな捉え方を知ることで心が落ち着く。メディアの中でもラジオは、距離感の心地よさがあるのかな。2024/11/27

ちーこ

2
人は少し距離のある関係の方が、自立を促し、孤独を癒すんじゃないかと思う。自分に内在している問題を一人で抱えるのは、やはりツライ。しかし、家族のような近い存在では要らぬ感情がでてきてしまう。自分とは少し離れた場所にいて、でも、信頼できる関係があるというのは、社会を明るく住みやすくする近道だと思う。2024/09/15

takao

2
ふむ2024/08/22

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