内容説明
愛国的・排外的な思考をもち、差別的な言説を流布させるネット右翼。その書き込みを目にするのは日常生活の一部になった。しかし、ネット右翼の実態はわかっておらず、断片的な情報やイメージに基づく議論も多い。
ネット右翼とは何か、誰がネット右翼的な活動家を支持しているのか――80,000人規模の世論調査、「Facebook」、botの仕組みなどを実証的に分析し、インターネット文化の変容と右翼的言説の関係もあぶり出す。
ネット右翼の実態を多角的に解明して、手触り感があるネット右翼像を浮かび上がらせる。
目次
まえがき 樋口直人
第1章 ネット右翼とは誰か――ネット右翼の規定要因 永吉希久子
1 ネット右翼とオンライン排外主義者は異なるのか
2 どのような人がネット右翼になりやすいのか
3 どの要因の効果が強いのか
第2章 ネット右翼活動家の「リアル」な支持基盤――誰がなぜ桜井誠に投票したのか 松谷 満
1 ネット右翼活動家を支持しているのは誰か
2 ネット右翼活動家を支持するのはなぜか
3 ネット右翼活動家に対する投票の規定要因
第3章 ネット右翼の生活世界 樋口直人
1 ネット右翼に関するイメージの欠乏――問題の所在
2 ネット右翼が可視化するとき――「慰安婦」合意に対する右からの叱咤
3 ネット右翼の活動と生活の接点
4 ミリオタ、宗教、武道――ネット右翼のサブカルチャー的背景
5 リアル空間とネット右翼
6 ネット右翼の三つの世界――結語に代えて
第4章 ネット右翼と参加型文化――情報に対する態度とメディア・リテラシーの右旋回 倉橋耕平
1 インターネット以前の右派メディアからインターネットへ
2 「マスコミvsネット」と「メディア・リテラシーの右旋回」
3 新たな敵対性の創出と言説空間の刷新
第5章 ネット右翼と政治――二〇一四年総選挙でのコンピューター仕掛けのプロパガンダ ファビアン・シェーファー/ステファン・エヴァート/フィリップ・ハインリッヒ
1 ネット右翼と「アルゴリズムの潜在的公共圏」の出現
2 二〇一四年総選挙――ソーシャルメディアと安倍の隠れたナショナリスト的アジェンダ
3 サンプリングと方法――二〇一四年総選挙でのソーシャルbotの検出
4 botによる隠れた右派キャンペーン
終 章 ネット右翼とフェミニズム 山口智美
1 ネット右翼と政治、メディア
2 歴史認識と日本軍「慰安婦」問題
3 ジェンダーとネット右翼
4 フェミニズムへのバックラッシュとネット空間
5 「反日」という視座
6 ネット右翼のアイコンとしての「杉田水脈」
感想・レビュー
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