ディズニーランドの社会学 - 脱ディズニー化するTDR

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ディズニーランドの社会学 - 脱ディズニー化するTDR

  • 著者名:新井克弥
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2018/09発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234056

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内容説明

いま、東京ディズニーリゾート(TDR)はどんどん「脱ディズニー化」している――「徹底的に統一したテーマ」「家族みんなで夢を見る」というウォルト・ディズニーの理想を体現していた時代は過ぎ去って、「テーマなき萌え要素のごった煮」のなかを「お一人様がそれぞれの目的のために突っ走る」空間になっているのだ。
これは、実は歌舞伎からAKB48まで脈々と続く、「全体像よりもピンポイントの趣向」を重視する日本の文化、そして社会の傾向とつながっている。
顧客(ゲスト)のニーズに最先端で応えて変わり続けるTDRは、まさに現代社会の縮図。TDRの変容の過程を分析することで、日本社会の「いま」と「あした」を描き出す画期的なメディア社会論。

目次

はじめに

第1章 様相を変貌させる東京ディズニーリゾート
 1 「ディズニー学」の基礎知識
 2 パーク内はコスプレ会場と化した?
 3 ファミリー・エンターテインメントからの逸脱
 4 TDR=送り手側も異様?
 5 ウォルトの存在が薄れるほどゲストの数は増える?

第2章 ディズニーランドと日本人――ディズニーというゆりかごのなかで
 1 ディズニーと日本人の関係史
 2 日本アニメの苗床になったディズニー
 3 プロレスとディズニーが高度経済成長とテレビ普及に貢献
 4 ディズニーになじんでいた戦後世代
 5 日本人へのディズニー再教育

第3章 テーマパークの本質:1――情報圧によるめまい
 1 テーマパークとは何か
 2 テーマ性の入れ子構造
 3 TDSでのテーマの重層構造

第4章 テーマパークの本質:2――ハイパーリアリティー
 1 ハイパーリアリティーとは何か
 2 テーマランドはコピーのコピー
 3 ジャパン・オリジナル、ダッフィーの誕生
 4 ダッフィー的システムの方法論化

第5章 テーマ性の崩壊
 1 崩壊を象徴するパレード
 2 マクロと中規模(=ミドル)のテーマ性
 3 ミクロなテーマ性
 4 テーマ性崩壊をさらに進める「ハピネス・イズ・ヒア」
 5 テーマなきテーマパークの出現

第6章 ジャパン・オリジナル化するTDR
 1 グレムリン化するゲスト、ドン・キホーテ化するTDL
 2 消費文化の伝統文化への昇華をもくろんだウォルト
 3 アキバ化するTDL

第7章 ディズニー化する社会、脱ディズニー化するTDR、そして……
 1 ファストフードとファミレスを経験した一九七〇年代
 2 ディズニー化とは何か
 3 社会がディズニー化していく
 4 脱ディズニー化する未来

第8章 TDRは聖地になりうるか?
 1 評価が分かれる『アナ雪』
 2 微分的文化と文化相対主義
 3 二つの聖地

付録 ディズニーを学ぶ人のために
 1 ウォルトを知る
 2 ウォルト没後のディズニーの状況を知る
 3 東京ディズニーリゾートを知る
 4 専門的な視点からディズニーを考える

参考文献

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

58
ディズニーリゾートについて書かれた本は多い。しかしその本は概ねディズニーリゾートを称賛するものばかり。そう考えた著者の新井さんがこんな見方でみたらディズニーにも指摘しないといけない部分があるのではないかと考えて書いたのがこの本になっている。その内容としてはウォルト主義からの逸脱。ウォルト主義は勧善懲悪・ハッピーエンドを詰め込んだ内容の物語。そしてディズニーリゾートのテーマパークはその物語性を入れなければならないとするもの。最近のディズニーはゲストの意向を汲んで物語性などがない可能性を指摘している2024/06/11

サアベドラ

21
舞浜に所在するテーマパークの変容を社会学っぽく分析。著者はパークでの勤務経験のある社会学者。2016年刊。統一されたテーマ性からキャラクター重視へのコンセプトの転換、グッズやショーなどお目当ての部分だけのために来園するコアな客層(本書では「Dヲタ」と呼ばれる)の増加といった、園内で見られるいくつかの変化を日本社会と絡めて論じている。取り上げられているトピックにあまり新鮮さを感じられず、一方で、年間来園者数の増加や顧客満足度の低下、従業員の質など個人的に気になるところは触れられていない。少々物足りないかな。2018/08/29

なおきち

6
ウォルト・ディズニーが描く理想の世界を追求し、全てが思いどおりに徹底的に管理され誕生したディズニーランド。1983年に日本へと海を渡ったディズニーランドは一つのテーマもとに施設や景観などが総合的に演出された観光施設「テーマパーク」という概念を日本にもたらした。しかし、ウォルトの死後半世紀以上が経過した今日、日本人がディズニーに抱くイメージや求める要素は細分化し、必ずしもウォルトの思想を必要としなくなった。TDRはテーマ性を弱めることで独自の変容と発展を続ける。ディズニーを通して文化の変遷を見るのも面白い2019/03/11

midorino

5
先日、子どもを連れてランドに行った時に配偶者がしきりに昔と違う気がすると言っていた違和感の正体はこれだったか、と納得しながら読んだ。最初は「昔は良かった」という話で終わってしまうのかと心配したがそれだけではなくてよかった。親になった自分としては大人も子どもも一緒に楽しむというウォルトの理念をTDRにはずっと目指してほしいとも思う。どんな形であれ、夢と魔法の世界を提供し続けてほしいし、楽しむ側も羽目を外しすぎないようにしたいものだ。この本は日本の話がメインだが、本国や他の国の現状ももっと見てみたかった。2017/06/27

happy55703

2
少し情報が古いがなかなか面白い2024/12/17

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