発表会文化論 - アマチュアの表現活動を問う

個数:1
紙書籍版価格
¥1,760
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

発表会文化論 - アマチュアの表現活動を問う

  • 著者名:宮入恭平
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2021/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787233837

ファイル: /

内容説明

日本の発表会の起源を江戸から現在までたどり、習い事や合唱、ライブハウス、公募展、学校制度、教育行政、公共ホール、アメリカとの比較といった事例を検証して、アマチュアによる表現活動の多様性と魅力、それを支える仕組み、問題点を浮かび上がらせる。

目次

はじめに 宮入恭平

第1章 発表会の歴史 薗田碩哉/歌川光一
 1 「発表」することの起源――限界芸術論の視点から
 2 原型としての江戸遊芸――たしなみと趣味の日常化
 3 西欧化と遊芸の変容――発表会という新スタイル
 4 発表会を支える仕組み――制度・舞台・近代
 5 芸術・芸能の発表会とは何か

第2章 習い事産業と発表会 佐藤生実
 1 私的な発表会体験から
 2 子どもの習い事の実際
 3 大人の習い事ブーム
 4 発表会よ、どこへいく

第3章 社会教育・生涯学習行政と地域アマチュア芸術文化活動 歌川光一
 1 地域アマチュア芸術文化活動はどこでおこなわれているのか
 2 地域アマチュア芸術文化活動を管轄する行政とは?
 3 地域アマチュア芸術文化活動と行政の実際
 4 地域アマチュア芸術文化活動は社会教育・生涯学習行政の宿痾か?

第4章 学校教育と発表会 宮入恭平
 1 部活動の夏合宿
 2 軽音楽部と『けいおん!』ブーム
 3 健全な部活動としてのロック
 4 物語を必要とする部活動
 5 競争と共同のあいだで
 6 発表会を内面化させる装置

第5章 発表会が照らす公共ホールの役割 氏原茂将
 1 公共ホールとはなにか
 2 「芸術創造の場」という理念
 3 貸館という実態
 4 市民文化の創造拠点――もう一つの理念を考える
 5 公共ホールを使いこなすために
 6 「市民のための空間」に向けて

第6章 合唱に親しむ人々 薗田碩哉
 1 発表会としての「合唱祭」
 2 合唱祭の風景を眺める
 3 「合唱」をめざす人々
 4 西洋音楽の移入と和声へのとまどい
 5 合唱の特権性と発表会の必然性
 6 「歌うコミュニティー」は可能か

第7章 誰のための公募展 光岡寿郎
 1 公募展と公募展像の距離
 2 形式化する公募展批判
 3 「私」のための公募展
 4 公募展批判の裏に隠されてきたこと

第8章 発表会化するライブハウス 宮入恭平
 1 ライブハウスを取り巻く文化
 2 ノルマ制度が助長する発表会化
 3 出演者と観客の関係
 4 文化と産業のはざまで
 5 ライブハウスに求められるもの
 6 発表会との距離をとらえ直すために

第9章 アメリカの発表会 早稲田みな子
 1 南カリフォルニアとハワイの「日本」
 2 家元制度と発表会
 3 アメリカの発表会システム
 4 発表会を通じた新しい現象
 5 ローカル化される日本の発表会

おわりに 宮入恭平

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

23
ミュージシャンでもある編者がライブハウスで感じた閉塞感をきっかけに、バレエや演劇、絵画、日舞とさまざまなジャンルで見られる「表現者が自らの負担で見てもらう」発表会文化を、それぞれ専門の研究者と追いかけた本。確かに今のライブハウスって親類縁者でないと入りにくくなってて、それは子供の習い事のようだけど、いい悪いじゃない。それだけアマチュアの表現活動の裾野が広いということだし、発表会というツールがそれだけ有効ということだからだ。◇それを気づかせてくれる最終章、西海岸・ハワイでの日系人社会の事例が非常に効果的だ。2015/04/30

古戸圭一朗

1
編者の宮入氏による「ライブハウスの発表会化」という違和感を導入に、様々な観点から、我々が普段意識することのない「発表会」の自明性を問う。アマチュアの表現活動に、発表会という装置が、いかに作用を及ぼしているのか、そしてそれが大きな力を持っていることを考えさせられる。本書は発表会(という内面化された形式)を表現活動の幅を狭めてしまう一方、その形式を利用して表現活動を展開する実践もあるという、二面性をもった物として描き出していると感じた。いずれにせよ、アマチュアの表現文化を考えるために有益な視点を与えてくれる。2019/11/11

ともさん

0
なんでアマオケは演奏会が必要なのか?という疑問に答えてくれる本ではなかった。2016/03/05

ri4ee

0
「(アマチュアである)出演者自らが出資して出演する、興行として成立しない公演」=発表会について、分野も切り口もさまざまに書かれた論集。現状を描くことを目的の一つとしているためか、まだ踏み込んだ考察に欠けていると思うものもあった。とはいえ多彩な語り口から「発表会」というあり方がこれほど日本で強力に作用しているのか、ということを感じられる。個人的には家元制度についてなるほどと思うことが多く、今後調べてみようと思った。2015/06/05

nxjvy

0
発表会の歴史が第一章と二章でくわしくせつめいされてあり、とても分かりやすかった。研究に生かせそうだと思う。2023/10/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9409752
  • ご注意事項
 

同じシリーズの商品一覧

該当件数109件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす