子どもと貧困の戦後史

個数:1
紙書籍版価格
¥1,760
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

子どもと貧困の戦後史

  • 著者名:相澤真一/土屋敦
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2023/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234032

ファイル: /

内容説明

2000年代後半から一気に問題化した子どもの貧困。日本社会における格差の拡大に注目が集まるなか、若者・女性・高齢者の貧困の問題や待機児童の問題とともに、解決すべき喫緊の課題として議論されている。

しかし、歴史的なスパンを広げてみれば、貧困環境にある子どもはこれまで多くいて、保護や福祉の対象となってきた。にもかかわらず、新しい事態かのように子どもと貧困の問題を見てしまうとしたら、私たちは何を看過し、何を忘れてしまっていたのだろうか。

敗戦直後の戦災孤児や浮浪児、復興期の家庭環境と子ども、高度成長期における子どもの貧困の脱出と、不可視化する経済問題――復元した1950・60年代の貴重な社会調査データやマクロ統計で当時の実態に実証的に迫り、新聞報道や児童・生徒の「声」も織り込んで、子どもと貧困の戦後を立体的に照らし出す。

目次

序章 子どもと貧困の戦後史 相澤真一
 1 いま、注目すべき子どもと貧困の関係史――本書の課題
 2 戦後社会のなかの貧困と子ども/現在の「子どもの貧困」
 3 本書で使うデータと方法――いま復元される一九五〇年代・六〇年代の貧困をめぐる社会調査資料から
 4 本書の構成――一九五〇年代と六〇年代の貧困の見え方の違いから

第1章 社会調査データからみる子どもと貧困の戦後史 相澤真一
 1 戦後、破壊された国民生活と貧困に転落した人々
 2 戦後の多産少死社会での子どもと貧困――静岡調査の分析から
 3 一九五〇年代の貧困からどのようにして脱出できたか――静岡調査の質的分析にみる「中学卒業」の意味
 4 教育は貧困を克服する選択肢だったのか?――公開社会調査データの分析からみる一九五〇年代の貧困

第2章 焦土のなかの戦災孤児、浮浪児問題――「親を亡くした子ども」をめぐる「社会表象」の変遷をめぐって 土屋 敦
 1 戦災孤児、浮浪児をめぐる「飢餓貧困」
 2 「親のない子ども」「親を亡くした子ども」をめぐる新聞記事件数の推移
 3 「慈しむべき哀れな孤児像」
 4 「不良化し犯罪化する危険な浮浪児像」
 5 「平和への祈願としての原爆孤児像」の形成
 6 戦災孤児たちの「親探し運動」と「親子再会の物語」

第3章 家庭のなかの子どもからみた学校と戦争――一九五二―五八年 小山 裕
 1 なぜ子どもの貧困はみえにくいのか
 2 世帯のなかの子どもに迫るためのデータ
 3 長期欠席児童・生徒と貧困
 4 生徒と労働者の狭間で
 5 生活保護受給世帯の子どもたち
 6 家庭のなかの子ども――変わったものと変わらないもの

第4章 貧困からの脱却と子どもの高校進学 開田奈穂美
 1 高度経済成長期の子どもたちの姿
 2 「神奈川県における民生基礎調査」について
 3 子どもの高校進学を促進するもの、阻害するもの
 4 収入の変化と子どもの有無
 5 貧困からの脱却に子どもが果たす役割

第5章 大人と子どもが語る「貧困」と「子ども」――どのようにして経済問題が忘れられていったか 元森絵里子
 1 「子どもの貧困」をめぐる実態と言説
 2 現実とその反対項、「子ども」という表象
 3 社会が語る「貧困」と「子ども」――「現実」語りと「理想」語りのすれ違い
 4 子どもが語る「貧困」と「子ども」――「荒波」から「青春」へ
 5 貧困という現実の潜在化、子どもという理想の前景化

おわりに 相澤真一

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

24
戦後社会のなかで子どもと貧困はどのように捉えられてきたのかを歴史的に分析した本です。戦後すぐの戦災孤児、復興期の家庭環境と子ども、高度経済成長期など、当時の社会調査データにも基づきながら、分析がされていました。また、新聞報道なども資料として分析されていました。この本を読んで思ったのは、子どもの貧困は2000年代に入って可視化されたのかもしれませんが、戦後ずっと存在し続けていたのではないかということです。そして労働力として子どもが捉えられると貧困は見えにくくなるのではないかということです。学び多い本でした。2016/05/28

てくてく

9
子どもは、養育や教育にお金がかかるという点で「重荷」であるとともに、その子どもが就労して金銭を得ることで家族の経済状況を上向きにすることができる「エンジン」でもありえる。その子どもの養育、就学、進学、就労について戦後どのような変化がありえたかということを描いている。子どもの貧困は、戦争による孤児や貧しさがある程度回復されたとされる段階でいったんは可視化されなくなったが、今に至るまで存在し続けたのであろう。そして今、可視化されたことで、自分たちはその子どもに何ができるのか考えなければならないと思った。2018/03/23

Pontmercy

2
戦後の貧困については母親などから聞いていたものの、あまりリアルに感じられていなかったものが、この本によってイメージがわいた。戦後の子供の貧困による中卒、格差体験による傷はその人が大人になっても根深く、その子孫にまで影響を与えているのを知っている。現代でも子供の貧困は意外とあるのにあまり知られていない。もっとこの問題をたくさん扱ってほしい。2016/06/24

海戸 波斗

0
学問なので、数字が大切かもしれないが、取り方によって変わることを忘れてはならない。虐待とか昔は少なかったわけではなく、なかったことにされてたことだし、DVも近所の人すら知らんぷりが常識だったじゃん。70年代の高度経済成長期に生まれの団塊ジュニア学者先生たちにとっての考察。私の理解はこの程度。読んで悪かった。2016/06/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/10864414
  • ご注意事項
 

同じシリーズの商品一覧

該当件数109件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす