内容説明
70年代の後半、椎名さんが、映画を撮ろう!という一念に燃えた、汗と感動の記録である。子どもの頃から動く画像にとりつかれ、いくつかの段階を経て、最終的に目指すのは16ミリ映画制作!だ。7分間のドキュメントのため、撮影機材、フィルム、被写体、編集、録音と、16ミリはお金と時間を浪費してしまう、恐怖の魔物なのである。が、幾多の困難を乗り越え、椎名さんの16ミリは堂々完成。映写会のあと、少しぐったりした気分なのであった・・・・・・。「創る」ことへのひたむきなパワーと一抹の空しさを軽快に描いた、克美荘以後の、もうひとつの輝かしい青春記である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
72
「私、映画が好きです」というのにもいろいろあって、普通は映画観賞。でも若き日の椎名さんみたいに「自主映画製作」にヨロコビを感じる人もいる。16ミリのフィルムでも、短い一本の作品を撮るのに機材やフィルムで数十万円のお金が飛んでいく。それでも、中古の機材を買ってはそれを眺めながら「むふふ」と笑い、でき上ったフィルムを見ては「うひゃひゃひゃ」とこみあげてくる笑いを一人噛みしめる。映画は撮ったことないけどわかるなあ。趣味の世界ってほんとそんなもんですよ。椎名誠、27歳の夏。★★★+2016/09/10
kinkin
9
現在は誰でも安く早く手軽に映画を作ろうと思えば作れる時代でもある。16mmカメラというとても高価でフィルムも通常1巻3分。それが現像してみないと写りがわからず、編集しやっと映画の一部となる。そういう時代に映画作りに挑戦した著者の熱い思いが伝わってくる。 2014/01/23
Ryuji
5
★★★★☆椎名さんが若い頃に夢中になった16ミリの話を中心とした、映画にまつわるエッセイ。この頃の椎名さんの映画に対する思いがひしひしと伝わって来ます。私自身は動画を自分で撮ったりするのは、全く興味がありませんが何か一つの事に興味を持つと、いてもたっても居られずそれに集中していくところはとても分かる。この本も30年以上前の本ですが、この頃の椎名さんの文体はパワーがみなぎっている、最近の本と読み比べると良く分かる。2016/09/21
ソラ
3
【読メ登録以前読了作品】2006/04/28
カンパネルラ
3
作者の16ミリ映画に対する青春時代の思い入れを描いたエッセイ。なかなか面白かった。結局、椎名はその後ちゃんとした映画を撮ってるわけでそれにしても、しっかりとしたバックボーンがあったわけだった。2004/10/17