ピンクと青とジェンダー

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¥1,980
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ピンクと青とジェンダー

  • 著者名:石井国雄/田戸岡好香
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 青弓社(2025/05発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235589

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内容説明

「ピンクは女の子、青は男の子」という性別に基づく色分けは、トイレや更衣室、ファッションやおもちゃなど、私たちの日常の随所に見いだすことができる。しかし、この使い分けはそもそもどうして生まれたのか。また、本当に根拠がある色使いなのだろうか。そして実際に、女性はピンクを好み、男性は青を好んでいるのだろうか。

本書では、社会から文化にわたるさまざまな局面で自明視されている「ピンクは女の子、青は男の子」というステレオタイプな区分に疑問を投げかける。そして、色による性別区分の実態に迫るため、日本を含む各国でおこなわれたピンクと青の印象に関する実験の数々を紹介する。

その結果として、この固定観念や好みは決して先天的なものではなく、後天的、つまり私たちを取り巻く社会的・文化的な影響のもとで生じるのだと結論づける。そのうえで、色に関するジェンダーステレオタイプを乗り越えようとする近年の社会的実践にふれ、いたるところに潜在する慣習的な性差についても是正の必要性を訴える。

私たちにとって色とは何か。性差を、文化を、そして社会を方向づける強固なメカニズムの解体を試みる、社会心理学からのアプローチ。

目次

はじめに

第1部 基礎パート――ピンクと青の心理学

第1章 ピンクと青は誰の色?――ピンクと青の歴史と現代
 1 ピンクと青のイメージをめぐる歴史
 2 ピンクと青の現代
 3 色は心理に影響を及ぼすのか――色彩心理学の歴史的背景

第2章 ピンクと青に対するイメージ――「ピンクは女の子、青は男の子」なのか
 1 色のイメージと印象に関する研究
 2 色に関する認知――記憶のなかの色概念と属性概念との結び付き

コラム1 化粧が自分のイメージに与える影響

第3章 ピンクを身に着けた人は女の子らしい?――ピンクと青が印象に及ぼす影響
 1 ピンクと青が性別判断に及ぼす影響
 2 ピンクと青が印象に及ぼす影響
 3 ピンクと青が人々の判断や行動に及ぼす影響

コラム2 ピンクを身にまとった女性は「魅力的」なのか

第4章 ピンクを身に着けている私は女性らしい?――ピンクと青を身にまとうことの効果
 1 着衣と自己認知・行動との関係――着衣認知理論
 2 ピンクを身に着けると自己認知が変わるのか
 3 ピンクを着ていても俺は男らしい――ピンクへの反発
 4 ピンクは「女性らしい」職業のキャリア意識をアップさせる!?

コラム3 着衣認知研究の再現性

第2部 社会パート――社会を取り巻くピンクと青

第5章 本当に女の子はピンク、男の子は青を好むのか
 1 色の好みの発達的変化
 2 親の好みによる影響
 3 ピンクと青への好みとジェンダー・アイデンティティ
 4 学童期以降の色の好み

コラム4 ピンクと青の好みに関する本質主義

第6章 社会のなかの色とジェンダー
 1 社会のなかのジェンダーカラーの利用
 2 ジェンダーカラーの脱却に向けた企業の取り組み
 3 ジェンダーにとらわれない取り組みはどのように受け止められているか
 4 社会的ムーブメントとしてのピンク

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kenitirokikuti

6
図書館にて。青色と男およびピンク色と女の関係について心理学・社会学による最新の知見を紹介したもの。ディシプリン的に、共時的にバイアスは存在するが、通時的には変化するので、本質主義批判には適しているが、あんまし有益な指針が得られるというもんでもない。男にピンクの下着を着せたら反発を感じるのか振る舞いがより男っぽくなった、とか、ピンク色のナース服は白や青よりも新米と思われるとか、そういうトリビアはおもしろかった。2025/08/22

小木ハム

5
人間はなるべく脳の負担を減らそうとする。私達が男子=青、女子=ピンクのイメージを無意識に持っているのは、その方が楽だからだ。本書ではそうしたジェンダーカラーは社会的・文化的に刷り込まれていくもの(単純接触効果)であることが示されている。本来、色の好みは内側から湧き出るものだから、性別にかかわらず多様な選択肢を残していこうよという考えだ。一方、自由で多種複雑なものは脳にとっては負荷(認知的経済合理性)にもなる。信号機を紫色に点灯させたければ、社会的な合意形成が必要だ。地道なすり合わせが求められる。2025/08/01

ganesha

3
80年生まれと82年生まれの社会心理学者2名による色とジェンダーの関係性。18世紀にはピンクは「「上品で洗練された」エリートが用いる色という認識で男女を問わず愛用」され、19世紀の乳幼児には「青い目やブロンドの髪には青を、茶色い目や髪にはピンクを合わせ」たり、現代の「男の子がピンクを嫌うのも、周りからの「女々しい」というレッテルを貼られないように、男らしさを主張する一種の代償」など、興味深く読了。ピンクシャツデー、もっと広まれば良いのに。2025/07/07

skr-shower

1
他地区図書館本。一つ一つ決定しなくて良いように典型例で分ける。やりがちだが、男の子は案外赤もピンクも好きだし女の子も寒色系が好きだったりする。色々な場面で立ち止まって考えるべき。色黒で壊滅的にピンクが似合わない幼い時、母の買ってくる洋服に本当に困った…2025/08/10

KikuchiKohei

1
こんなに限定したテーマの書籍が一般書として流通するなんて、日本は段々と良い国になっているのだと、目頭を熱くしながら、本書を読んだ。 青は男の子で、ピンクは女の子といういわば「常識」の価値観が、確かに我々の中にあって、どのように構築されてきて、どのような影響を与えているのか、そして社会はそのステレオタイプにどのように取り組んでいるかを、実証的に示した力作。 丁寧にロジックを構成しているので、レポートを書くことや研究に悩んでいる学生が読むと得るものが多いのではないだろうか。2025/07/21

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