内容説明
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都市に生じた矛盾を解消し、日本的現代の理想郷となるはずだった郊外は、なぜ、あらゆる現代的問題の温床となりはててしまったのか。現代社会研究の最前線で活躍する研究者たちが、あらゆる角度から郊外を分析し、生起する問題の核心に迫る。
目次
はじめに 金子 淳第1章 都市と郊外の社会学 若林幹夫第2章 郊外の比較文化史と「第四山の手」の現在 三浦 展第3章 近代家族の揺らぎ 山田昌弘第4章 郊外文学の発生 小田光雄第5章 郊外ニュータウンの〈欲望〉 内田隆三
感想・レビュー
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浅香山三郎
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1998年のパルテノン多摩(の歴史博物館)における連続講演会を書籍化したもの。パルテノン多摩は、多摩市の歴史博物館、音楽ホールを併設した多摩センターのランドマーク的な施設である。著者が概ね1950年代生まれであり、今から10年前だといふことを考へると、未々語られる郊外問題は深刻ではなく、日本の戦後の自画像として郊外を読む視座のものが目立つ。なかでも、内田隆三さんの「郊外ニュータウンの〈欲望〉」は、ニュータウン的空間の消耗と成熟感のなさを指摘し、新しいタイプの共同性の必要を説く。ある意味予言的な指摘である。2017/08/29