出版社内容情報
江戸時代中期から明治維新前後、西洋文明との邂逅により新技術・新知識がもたらされ、さまざまな知識人の旺盛な好奇心と自由な精神が発露した。本書は、蘭学・博物学・美術など文化の諸相に比較文化の視点からアプローチし――たとえばデューラーと谷文晁、宝島』の作者スティーブンソン描く吉田松陰の肖像など――、それらを密接に結びつけて論ずる中で「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」の姿がダイナミックに浮かび上がる。
内容説明
福沢諭吉、栗本鋤雲、岩倉使節団…比類なき進取の精神が日本を世界の舞台に躍り出させた。世は幕末から明治維新へ―研究の驚きと喜びにあふれた比較文学・比較文化の泰斗の巨大な遺産。
目次
第1部 夷狄の国へ(吉田松陰とR.L.スティーヴンソン;洋学への脱走―西周;洋学者福沢諭吉の文章;「西航手帳」をめぐって;福沢諭吉の啓蒙文学;福沢における近代―その文章に即して;幕臣栗本鋤雲の生涯(一)
幕臣栗本鋤雲の生涯(二)
西園寺公望とフランス文化)
第2部 文明の技師たち(明治維新と岩倉使節団―日本近代化における連続性と革新性;久米邦武と『米欧回覧実記』;『米欧回覧実記』のアメリカ;パリにおける岩倉使節団;岩倉使節団の西洋都市研究;岩倉使節団の見たウィーンとウィーン万博)
著者等紹介
芳賀徹[ハガトオル]
1931年山形県生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院比較文学比較文化博士課程修了。文学博士(東京大学)。東京大学教養学部教授、プリンストン大学客員研究員、国際日本文化研究センター教授、京都造形芸術大学教授、同大学学長、岡崎市美術博物館、静岡県立美術館の館長などを歴任する。97年、紫綬褒章受章。2006年、瑞宝中綬章受章。2020年2月逝去。著書『平賀源内』(サントリー学芸賞)、『絵画の領分』(大佛次郎賞)、『藝術の国日本―画文交響』(蓮如賞)、『文明としての徳川日本』(恩賜賞・日本芸術院賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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