内容説明
スポーツ万能、学業成績優秀、すぐれた体格のスーパーチルドレン…。戦前から、敗戦を挟んで1990年代まで続けられた健康優良児表彰事業と健康優良学校表彰事業。朝日新聞社主導で進められ、健康優良日本一を競ったこのイベントの歴史を、高度経済成長などの社会的背景にも目配りしながらあぶり出す。健康優良児をめぐる言説に現れる都市-農村間の地域格差や性差、障害観を照らし出し、「健康」の背面に立ち上がる「不健全」「不健康」の歴史のありようをも明らかにする。「健康」という基準をめぐって排除と包摂が相互的におこなわれるなかで、児童を絶えず「健康」へと駆り立てる力学を浮き彫りにする。
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目次
はじめに 高井昌吏
第1部 健康優良児表彰事業の歴史
第1章 健康優良児表彰の概要 古賀 篤
1 健康優良児をめぐる研究
2 健康をテーマにしたメディア・イベントのはじまり
3 健康優良児表彰の設立
4 戦後の事業復活と健康優良学校表彰の誕生
5 健康優良児表彰の終焉
第2章 メディアが語る健康な子ども 古賀 篤
1 戦後の健康優良児の語られ方
2 優良児の語りにおける不変性
3 語りの変容性
第2部 健康優良児の語りにおけるポリティクス
第3章 優良児へのまなざしと都市の欲望 高井昌吏
1 一九五〇年代と戦前へのまなざし
2 健康優良児をめぐる視線のポリティクス
3 健康優良児のジェンダー性
第4章 高度成長期における健康優良児表彰事業 高井昌吏
1 こども大使の登場
2 こどもの国全国会議
3 健康優良児表彰事業の終焉
第5章 健康優良学校と日本の戦後 高井昌吏
1 健康優良学校の誕生
2 高度成長期の健康優良学校
3 健康優良学校の終焉
終章 健康優良児・優良学校をめぐるポリティクス 高井昌吏
1 農村と都市
2 ジェンダー
3 障害者
4 健康優良児とその時代
おわりに 高井昌吏/古賀 篤
感想・レビュー
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- Sho-ComiX 2016年12月…