内容説明
占いに何を求めているのか、なぜ信じるのか、「信じない」と強調するほど気になるのはなぜか――。占いの仕組みを二項対立構造や隠喩、分類方法、恣意性などに分解して検証し、「たかが占い」と思いながらも自分の行動の指針をゆだねてしまう奇妙な心性を探る。
目次
第1章 いまどきの占い
1 氾濫する占い
2 いくつかの特徴
3 科学と占い
第2章 占いは何をしているのか
1 人は占いに何を求めているのか
2 言葉による世界の秩序づけ
3 偶然の秩序化
4 問い方と答え方
第3章 人はなぜ占いを信じるのか
1 占いの対立構造
2 比喩のはたらき
3 占いは物語を作る
4 恣意性から必然性へ
5 上のレベルの設定
第4章 女性、若者と占い
1 女性と占い
2 若者と占い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
10
なぜ女性と若者なのか、それは生きにくいカテゴリーだから。持ってうまれた損があるから。それを後天的にどないかならんもんかと他力にすがっているから。ムーに前世の記憶を持ったとか私は宇宙人だとかいう読者が増えてきた頃、少年マンガの主人公は努力系から特殊な能力をもつ系に変化した。みんなあきらめちゃったんだよ。努力したってどないもならん、持って生まれたもの(環境)にはかなわない、ってあきらめちゃったんだ。で、非合理的なほうに走っちゃったんだな。見果てぬ夢、夢から醒めなくていいように。2013/11/09
さんまさ
5
「占い」の効用(という言葉は使われてないけど)とそれを求める現代社会(女性と若者)の心理分析、どちらも鋭く納得できた。めんどくさい世の中になったのぅ。救いはあるのかのぅ。以下自分メモ)偶然性の説明、物語作り、「わけがわかる」こと、「獲得的社会」の建前と現実、将来の不確実性、自己責任、女子力、自分探しと自分忘れ、非社会的な自己、快・不快・衝動・嗜好に基づく内的「私」、型による自己確認、社会的圧力からの自己防衛、宗教・占い・心理テスト2013/09/05
ヨミナガラ
4
“ここに、いみじくも、偶然に気づいたときの人間の反応が表されている。九鬼のように科学教育を受けた人でも、科学が正しいとする「どのようにして」という思考ではなく、科学的思考ではナンセンスであるはずの「なぜ」を発するのである。偶然に対しては、「どのようにして」という問いは意味をなさない。〔…〕「なぜ」の問いは、偶然に欠如しているものの説明を求めている。したがって、その説明は法則性や関連性や目的性を示すことであり、これは一言で言えば、「わけ」である。”2014/05/30
takao
2
ふむ2022/09/20
れうしあ
2
占いは巷に溢れている。それには軽いものが多い。占いは科学とは別のやり方で世界を説明しようとする。人は偶然に出会うと、何とかそれを説明し理解し納得したいと欲する。偶然の積み重ねである人生に説明を求めるのである。人が占いを信じる原因はその仕組みにある。占い理論の多くは二項対立によって構築されている。人は物事を関係づけて思考する。言葉は二項対立によってそれぞれが規定され意味が生じる。また占いには比喩がよく使われる。比喩は世界を構造化させるが、それが人生に投影され、人生に構造があるかのような錯覚を起こす。2021/08/05