内容説明
お笑いとは1つの「作品」であり、時代のモードを映す鏡である-。「吉本系の芸人が舞台に登場するとき、なぜ『がんばり宣言』をするのか」「取り違えコントはどうして笑えるのか」などの単純な疑問を解き明かすことを糸口に、古参の芸人から社会を賑わす若手芸人まで、数多くのお笑いの実例を取り上げて、「笑いのからくりであるパラレル・ワールドと観客とのあいだの心理的距離」というお笑いの構造を析出する。取り違え、シュール、漫才などの特徴をていねいに取り出しながら、お笑いがインタラクティヴな批評空間として成立したことを浮き彫りにして、そこに通底する「多重化したリアル」「アイデンティティーの変容」という時代性を明らかにする。
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目次
序章 笑いの風景
1 笑いの多様性
2 笑いを引き起こすのにかかる時間
第1章 笑いのパラレル・ワールド
1 笑いの個人差
2 笑いの学説史
3 笑いはパラレルな世界で生まれる
第2章 取り違え図式──笑芸コントの世界
1 競合するパラレル・ワールド
2 現実世界とパラレル・ワールド
3 現実の非現実化とパラレル・ワールド
第3章 シュールの彼方へ──お笑い革命の深層
1 ザ・プラン9の語るシュールとは?
2 アート系コント芸人ラーメンズの登場
第4章 現実の発見的再認──「悲しいとき」に笑うのは「なんでだろう」
1 この世にあるおかしいこと
2 あるあるネタのつくり方
3 自分を笑う理由
第5章 物語の現実化と現実の物語化
1 昔話という笑いの資源
2 人間世界にあるドラマ
第6章 漫才あるいは距離の芸術について
1 漫才の形式的特徴
2 進化するボケとツッコミ
3 メタ漫才と濃縮された多重性
終章 人はなぜ笑うのか
感想・レビュー
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九鳥
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