日本の人種主義 - トランスナショナルな視点からの入門書

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍

日本の人種主義 - トランスナショナルな視点からの入門書

  • 著者名:河合優子
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 青弓社(2023/04発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235190

ファイル: /

内容説明

アメリカでの黒人への暴力事件と抗議運動、ヨーロッパでの移民排斥、コロナ禍におけるアジア人への差別などがクローズアップされ、海外の問題と思われがちな人種主義や人種差別だが、日本でも歴史的に、そして現在でも深刻な問題であり続けている。

欧米の人種概念と人種主義の歴史的・社会的な背景、基本的な知識を押さえたうえで、日本の人種概念を捉え直し、近代から現代まで、日本で人種主義が展開してきた足跡をたどりながら、トランスナショナルな視点から日本の人種主義の特徴を整理する。そして、アジア地域の植民地支配をはじめとする日本の歴史的背景や「日本人とは誰か」という問いと結び付きながら、日本社会に意識的・無意識的に根づいている人種主義の現状を具体的な事例をもとに明らかにする。差別、偏見とステレオタイプ、アイデンティティなどの視点から、個人の日常的な意識や振る舞いに人種主義が否応なく結び付いていることも浮き彫りにする。

国際的・領域横断的に蓄積されてきた人種主義に関する議論をまとめ、「私たちの問題」として日本の人種主義を考える視点を提供する入門書。

目次

はじめに

第1章 欧米の人種概念
 1 人種の概念化
 2 人種と科学
 3 人種からエスニシティへ
 4 人種、エスニシティ、ネイション

第2章 日本の人種概念
 1 人種の登場
 2 民族とフォルク
 3 人種から民族へ
 4 民族から「日本人」へ――単一民族神話の定着
 5 一九九〇年代以降の「日本人」

第3章 人種混淆
 1 二十世紀初頭までの欧米の議論
 2 中南米の人種混淆
 3 二十世紀以降の欧米の議論
 4 戦前日本の議論
 5 戦後日本の議論
 6 一九六〇年代以降の日本の議論

第4章 多様な人種主義
 1 生物的・科学的人種主義から文化的人種主義へ
 2 制度的人種主義と人種なき人種主義
 3 戦前日本の人種主義
 4 戦後日本の人種主義――イデオロギー的側面
 5 戦後日本の人種主義――構造的側面

第5章 差別
 1 差別とは
 2 日常の人種主義、マイクロアグレッション、人種主義の否認
 3 交差(インターセクショナリティ)

第6章 偏見とステレオタイプ
 1 偏見の捉え方の変遷
 2 偏見としての人種主義
 3 ステレオタイプの二つの特徴
 4 イデオロギーとしてのステレオタイプ

第7章 アイデンティティ
 1 自己と他者
 2 マイノリティとアイデンティティ
 3 アイデンティティと言説
 4 マジョリティ性

人種主義に関する用語一覧

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

73
まず語られるのは、18~19世紀に欧米で成立した人種概念は差異化と序列化を伴う恣意的なものだということ。日本では白人を頂点とするそれを受容するに当たり「民族」概念を導入し、「大和民族」を頂点とした黄色人種内の序列化を目指す方向に進んだこと、それは戦後も「『甘え』の構造」などに見られるように日本人を独自な文化集団として脱政治化することで維持されたことなどが、欧米の人種主義の変遷等と重ねて示されます。様々な研究や事例から、日本のレイシズムの存在や自身の無自覚なマジョリティ性を意識でき、学ぶことの多い本でした。2024/10/04

MOONIN

1
内容が難しくて読むのに手こずった。人種とは?差別とは?偏見、ステレオタイプ、アイデンティティとは?を歴史や事例を挙げながら解説してくれる。難しいけど分かりやすい。差別ってなんだろう?何をしたら差別に当たるのだろう?と悩むことが多いのだけど、その時々、相手と自分の立場によって変わるってことか〜…難しいなあ…ずぅと葛藤して知り続けていかないといけないんだなあ2024/07/06

読書家さん#mg6wig

1
トランスセクショナリティ、日常的な差別、談話における人種差別の否認(6つの戦略)、人種なき人種差別(象徴的・現代的人種差別) 歴史性の重要性2024/06/18

tegi

0
数年前、仕事で会った人が「日本には人種差別なんてないんじゃないかな」と言っていて喫驚した。いやそれはどうっすかねえ、くらいしか言えなかったし、今も筋道立てて「ある」と言えるかというと難しい。この本は欧米・日本の歴史をじっくり辿って丁寧に説明してくれる。情報量は多いけど意外とリーダビリティも高い。 件の人物とはそれきりだが、またああいうこと言われたら、これ読むといいですよと言おう。2025/07/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20984580
  • ご注意事項

最近チェックした商品

 

同じシリーズの商品一覧

該当件数110件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす