ニュータウンの社会史

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ニュータウンの社会史

  • 著者名:金子淳
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  • 青弓社(2022/03発売)
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  • ISBN:9784787234278

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内容説明

高度経済成長期に誕生したニュータウンは、新しいライフスタイルとして「あこがれ」の的になった。丘陵を切り開いて建設した東京・多摩ニュータウンや大阪・千里ニュータウンが代表する集合住宅は、都会で就職した地方出身者には誇らしい住空間だった。それとともに、私鉄は都心と直結することで交通網を整備した。2DK・3DKという間取りを生んだ住宅政策の原点でもある。
しかし、現在、日本各地のニュータウンで深刻な問題になっているのが、居住者の高齢化である。これは、同時期に同年代層が大量に入居し、また定住志向が強かったため、居住人口の中心年齢が固定化されたまま一気に押し上げられたためだ。
さらに、少子化に伴う学校の統廃合問題、建物の老朽化と建て替え問題、商店街の衰退など、現在のニュータウンではさまざまな問題が同時並行的に発生している。
もてはやされた時期から少子・高齢化が急速に進んでその対応策に苦慮している現在までの50年間をたどって、日本の縮図であるニュータウンを通じて社会の変貌を描き出す。

目次

まえがき

第1章 病理と郊外──社会の「鏡」としてのニュータウン
 1 なぜ、いまニュータウンか
 2 ニュータウンの「病理」
 3 ニュータウンとは何か
 4 「社会史」としてのニュータウン

第2章 開発と葛藤──多摩ニュータウンの成立と地域社会
 1 多摩ニュータウン計画の成立過程
 2 開発をめぐる地域社会の葛藤
 3 地域社会での開発の受容過程
 4 開発による地域産業の変容
 5 開発と農業の共存をめぐる運動

第3章 実験と抵抗──多摩ニュータウンという「実験都市」
 1 陸の孤島と実験都市
 2 都市計画の実験
 3 住宅の実験
 4 “初期不良”に抗する「暮らしの実験」

第4章 移動と定住──ニュータウンの住環境
 1 「住宅双六」と居住地移動
 2 “住みやすい”のに“住みにくい”
 3 居住空間の快適化
 4 「住宅双六」というゲームの終焉

第5章 断絶と継承──歴史をつなぐ語りの実践
 1 開発前/開発後の感覚的な断絶
 2 挫折の語り/武勇伝の語り
 3 歴史を仲立ちとした地域社会の再編
 4 呼び起こされる「古層」
 5 歴史としての「新層」

参考文献一覧

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

浅香山三郎

22
多摩市のパルテノン多摩の学芸員だつた著者による、歴史としての多摩ニュータウン。有り得たかもしれない農業の取り組みを潰して、ニュータウン建設が強行されたことの指摘や、「開発秘話」のやうな武勇伝に偏向せずに、挫折の語りへの注視が必要だと説く点など、示唆に富む。日本のほとんどのニュータウンが半世紀を数へつつあるのに、まだ歴史の対象として捉へられて居ないか、語りが紋切り型で多様な語りが阻害(疎外)されてゐるなかで、本書のやうな仕事は極めて大事だと思ふ。2018/05/25

Nさん

7
私たちはニュータウンをどこまで知っているだろうか?ニュータウンは何もない場所に突然できた訳ではない。多摩の広大な土地には、農業を営む人々の生活があった。そして、不便な「陸の孤島」で暮らし始めた新住民が、どの様な工夫を凝らしてきたのかなど、「実験都市」としてのニュータウンの変遷は非常に興味深い。著者は「無機質で歴史のない土地」と思われがちのニュータウンを、単なる開発側だけの歴史ではなく、多摩という地域「場所性」の連続として捉え直す。それは同時に、語られなかった話、土地を奪われた人たちの声を聞くことでもある。2019/08/28

さまい

6
タイトルからニュータウン全般についての本と思い読んだが、実際には”多摩ニュータウン”の本だった。東京には疎いので多摩ニュータウンの空気感・地理感が分からずあまりのめりこめなかった。開発側の武勇伝のような語りだけが広まりがちだが、開発反対側の挫折の語りに注目することは確かに必要なことだと思う。2021/06/25

kesu

4
ニュータウンの完成形しか知らない私にとってみれば様々な思惑が交錯するなかで一つの生活空間が形成されていることを想起させる一冊。これからは大規模なニュータウン開発なくなるだろうが、先人たちの営みを忘れてはいけないと感じた。

やご

3
ニュータウン。この言葉の語感自体が全然「ニュー」ではなくなってしまったような。戦後、人口急増した東京に大量の住宅地を供給するために、1960年代に計画された日本最大のニュータウン・多摩ニュータウンが、紆余曲折を経て現在に至るまでをたどったもの。 (続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1171.htm2021/04/20

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