占いをまとう少女たち - 雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ

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占いをまとう少女たち - 雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ

  • 著者名:橋迫瑞穂
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2022/01発売)
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  • ISBN:9784787234476

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内容説明

1980年代に少女たちの間で流行した「占い/おまじない」は、現代まで多くの女性から支持されてきた。占いはなぜ女性を引き付けたのか、それは女性にとってどのような役割を果たしてきたのか。

少女向け占い専門雑誌「マイバースデイ」(実業之日本社)を軸に女性誌やファッション誌にも目配りして、1980年代、90年代、2000年代の少女と占いの関係性を描き出す。そして、宗教ブームやオウム真理教の影響、女性の社会進出なども絡めて、社会的・文化的な背景を解き明かす。

少女たちの理想像や人間関係を時代ごとに指し示し、宗教の市場化・商品化の役目も担った〈占い〉の社会的な機能を明らかにして、スピリチュアリティと女性たちの現状にも迫る宗教社会学の成果。「マイバースデイ」を当時読んだ読者も必読。

目次

序 章 雑誌「マイバースデイ」とその時代
 1 「宗教ブーム」のなかの「占い/おまじない」
 2 変化する「占い/おまじない」
 3 雑誌とジェンダー

第1章 現代社会での宗教の位置とその変遷――ピーター・L・バーガーの議論を手がかりに
 1 宗教の「世俗化」とは何か
 2 近代化での社会の変容と「世俗化」
 3 宗教の「市場」化と消費者の出現
 4 宗教が若者に見直されるとき
 5 近現代での宗教の再発見

第2章 「マイバースデイ」の「占い/おまじない」
 1 雑誌としての「マイバースデイ」
 2 「マイバースデイ」の「占い/おまじない」
 3 「魔女っこ」の登場
 4 努力としての「おまじない」
 5 読者と「マイバースデイ」
 6 「マイバースデイ」の世界観

第3章 「マイバースデイ」における「手作り」と少女
 1 「ライフスタイル」と「手作り」
 2 「マイバースデイ」の「おまじない」グッズ
 3 エミール・シェラザードによる「おまじない」
 4 イベントでの手作りと「おまじない」グッズ
 5 「マイバースデイ」での手作りとその意味

第4章 一九九〇年代「マイバースデイ」の「占い/おまじない」
 1 一九九〇年代「マイバースデイ」に見られるライフスタイルの記事
 2 一九九〇年代「マイバースデイ」の「占い/おまじない」
 3 「心理テスト」と「ランキング」
 4 「占い/おまじない」の広がりと拡散
 5 「占い/おまじない」から精神世界へ
 6 一九九〇年代「マイバースデイ」の「占い/おまじない」の変化とその役割

第5章 〈知識〉としての「占い/おまじない」の共有と少女――読者投稿欄「ハローバースデイ」の分析から
 1 「ハローバースデイ」の概要
 2 「KH Coder」を用いた「ハローバースデイ」の分析
 3 一九八〇年代「ハローバースデイ」と「占い」の投稿
 4 「おまじない」の創作と共有
 5 一九九〇年代の「ハローバースデイ」
 6 一九九〇年代の「ハローバースデイ」の「占い/おまじない」関連の投稿の特徴 
 7 〈知識〉としての「占い/おまじない」と少女たちの「天蓋」

第6章 女性と「占い/おまじない」――鏡リュウジと女性誌を事例として
 1 活動状況と概要
 2 女性誌の「占い/おまじない」
 3 学ぶものとしての占い
 4 「おまじない」と「魔女」のイメージ
 5 鏡の「占い/おまじない」に対する価値観とその背景
 6 女性誌の「占い/おまじない」の変遷とその内容

終 章 「占い/おまじない」と少女がつむぐ「世界」、そのゆくえ
 1 「宗教の市場化」と「占い/おまじない」
 2 「DIY的宇宙」としての「占い/おまじない」
 3 「占い/おまじない」に見いだされる個人の意識と社会的背景
 4 「占い/おまじない」とオウム真理教
 5 現代日本社会のスピリチュアリティの今後――「おわりに」に代えて

初出一覧

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サイバーパンツ

14
「白魔女」という理想像を目指し、読者が投稿で繋がりながら、学校という修練の場に向き合っていく80年代、場当たり的に学校を生き抜くための現実的なツールとして使われる90年代、80年代ほど強固でないにしても90年代に後退していた宗教的な世界観が復活し、成人女性を主たる担い手として能動的な広がりを見せる00年代と、年代ごとに占い/おまじないイメージの変遷を追う。理想像としての魔女≒学校≒社会へ同一化させるものから、わたしという魔女のための防衛・強化魔法へと変わっていく一方でジェンダー観は固定的なようだ。2019/03/21

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

10
メモ:匿名性に耐えられなくなり、生年月日は個人特有のもの2021/06/21

owlsoul

8
かつて世界を構築していた宗教の力は合理主義の台頭により弱体化し、人々は「個人」として複雑な世界に投げ出された。個人はアイデンティティをDIY的に構築する必要に迫られるが、それは簡単なことではない。そこで不安な個人は宗教へと回帰するが、その過程で宗教は「商品」のように個人が選択し消費するものへと変化した。現代の少女・女性たちにとって、その役割を担ったのは「占い」であると著者はいう。既存宗教が歴史的な女性蔑視を内包していたのとは対照的に、個人を尊重する占いは女性たちを引き付け、やがて一つの文化圏を形成していく2023/12/29

うちこ

6
著者はもともとオウム真理教に強い関心があって、オウム真理教では「救済」の名のもとに暴力(テロ)にまで発展していったのに対して、なぜ同時代の「おまじない」はそういう方向へ行かなかったのかという点に注目し、この本をまとめられています。 題材の割には視点が冷静なので、なんでだろうと思っていたら、そういうわけなのでした。その15年以上のモヤモヤに、この一冊の本が多くのヒントをくれました。おもしろかったー!2021/10/24

Olive

3
なぜ占いやおまじないは、少女たちをひきつけたのか。それはどのよう内容で、社会的背景があったかを1980,90,2000年の「マイバースデイ」をもとに考える。 占いの専門家によって方向性は示しながらも、あくまでもその解釈を読者自身の手にゆだねることでその市場化を促した。これは既存の宗教が形を変えて現代社会に現れるということだという。面白かった。マイバースデイと共に育ってきた私は、50過ぎた今でも占いが大好きだ。 年代毎の差異をこうして俯瞰してみると、社会学面白いぞ、と思う。2021/07/14

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