内容説明
明治から現代までの歴史的な文脈のもとで野球小僧たちの言説を読み解き、「ダイナミックな文化形態」としての側面を浮き彫りにすることで、日本の野球史を生き生きとしたドラマと力に満ちたものとしてよみがえらせる「べーすぼーる精神史」。
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目次
プロローグ──明治の日米野球
第1章 べーすぼーる部事始め
1 愉快
2 一八九〇年
3 撃剣vs.ベースボール
第2章 プライドと名誉──一高時代1
1 バットを取りては日本一!
2 プライドの表示
3 校風を担って
第3章 「武士的野球」論の登場──一高時代2
1 帝国主義の磁力?
2 精神修養を標榜す!
3 「武士的野球」の文脈
第4章 武士道による野球の擁護
1 SF冒険作家──押川春浪
2 早大教授──安部磯雄
3 慶応野球部エース──青木泰一
第5章 解放と呪縛
1 “野球否定”の時代
2 怒りのストライキ
3 新たな呪縛
第6章 その後の野球小僧たち
1 一九三九年のノスタルジア?
2 小説『あゝ玉杯に花うけて』
3 野球道への共感
第7章 べーすぼーるの戦後
1 廃虚のなかのプレイボール
2 みんな野球少年だった
3 “魂の野球”の復活!?
エピローグ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
14
日本の野球がベースボールと異なる独自の発展を遂げた、とよく言われるのは何故なのか。まずもって、当初は学校スポーツとして発展したという点。野球は学生の間で高い人気を誇ったが、一方で柔道や剣道を推す教師たちの反感を買い、「野球害毒論」なるネガキャンまで展開された。今日日の野球のライバルといえばサッカーだろうが、当時にあっては武道だったわけだ。これに対し、いやいや野球も心の修養に役立ちますよ、武士道が鍛えられるんですよと反論する中で、過剰な精神性を備えるようになったと著者は言う。2024/09/01
たろーたん
1
初期の野球が「武士的野球」や精神修行と絡みつき、軍隊っぽくなってくさまが描かれています。ただ、驚いたのが、1880年代の初期の野球は「打者中心のゲーム」で、海外のクリケットに近かったらしいこと。投手の投球を捕手はワンバンドしてから取ったり、打者はピッチャーに「目から胸まで」「胸から腰まで」「腰から膝まで」の三つの中から、自分の好みの高さに投げることを要求できたり。さらには、ボールは9回まで認められており、ファールはストライクにカウントしないなど、今の野球ならありえないことが多いということが印象に残った。2018/10/17