内容説明
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このくらいは「普通」のことだ-。「普通」や「常識」が規範として機能し、生活の最低限のモチベーションになっていた時代はもはや遠い過去になった。「当たり前に生きていてはダメだ」「独自であれ」「自分らしさをもつために絶えず努力しろ」などの言説の渦のなかでせきたてられるように社会制度から抜け出した途端、社会に戻ることが許されず排除される時代を私たちは生きている。独自性の獲得や社会的成功を生きる指標にするがゆえに、困難に見舞われ、むなしさを感じ、苦悩する人々の現状を、大学生の率直なコメントや若者文化、「私」語りなどの身近な事例を導きの糸にして描き出す。そして、「普通」「常識」をシニカルでニヒルな姿勢からではなく真正面からしっかりと見据えて、希望に満ちた明るい「普通」さの可能性を探る。
目次
はじめに
第1章 〈普通〉幻想のゆくえ
1 箱庭社会への退却
2 コミュニケーションの困難
3 〈常識〉〈良識〉の復権
4 社会学の過剰、そして過少
第2章 私秘化する感動体験
1 今日的な感動
2 日常化する非日常性
3 七十六年に一度の出会い
4 ただ憧れを知る者のみが……
第3章 若者文化の宴の後に
1 若者文化の歴史性
2 ロックの終焉
3 サブカルチャーからクラブ・カルチャーへ
4 欠乏する文化と氾濫するコミュニケーション
第4章 「私」の専制
1 関係性嗜癖の実相
2 読まれる「空気」
3 公共の場だから……
4 パラノの専横
第5章 集合的アイデンティティの現在
1 カテゴリーの圧制をめぐって
2 ラディカル構築主義を超えて
3 集合的アイデンティティとの付き合い方
第6章 信頼社会の回復に向けて
1 「われわれ」の射程
2 互酬性を超えて
3 〈普通〉に信頼し合える社会のために
あとがき
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きいち
Myrmidon
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t-1484