内容説明
裁判員制度を背景にして、死刑判決を下すことの意味に注目が集まり、死刑制度の存廃をめぐる議論も再び活発になってきている。しかし、これまでは、「誰を殺すのか/誰が殺されるのか」に議論が集中していて、死刑それ自体を誰が執行してきたのかは不問に付されてきた。本書では、存廃論からは一定の距離を置いたうえで、日本で死刑執行を担ってきたのは誰なのか、死刑執行人を選ぶ社会的条件とは何かを、江戸期の山田浅右衛門や明治期の監獄の押丁・看守の事例を取り上げて明らかにする。
目次
はじめに――「人を殺すことを拒否する」と主張することは許されないか
序章 死刑判決問題と死刑執行問題
1 死刑研究の二つの側面
2 前提となる背景――日本の死刑執行人に関する基礎知識
3 死刑執行人の実際
4 なぜ刑務官が死刑執行を担うことになっているのか
5 本書の方法
第1章 牢役人は死刑を担っていたのか
1 江戸時代の刑罰――死刑観と身分観
2 牢役人は死刑に関与したのか
3 死刑執行を副業とする山田浅右衛門
第2章 なぜ看守が死刑執行を担うようになったのか
1 絞柱の登場
2 ダーティーワークとしての死刑執行
3 旧刑法下での死刑執行
4 イギリスとの比較――〈死刑の執行は刑務官の職務だから仕方がない〉わけではない
第3章 戦後から現在に至るまでの死刑執行人をめぐる諸問題
1 国家公務員法の制定・改正へのGHQの関与
2 絞首刑違憲訴訟
3 法文上での死刑執行現場の消滅
4 死刑執行人の現状と問題点
第4章 問われなくなった問題とは何か
1 死刑執行人の声
2 刑務官が死刑執行人であることの問題性の変遷
3 何が問われなくなったのか
おわりに――〈殺させられる〉という問題
参考文献[本文では言及しなかったもの]
あとがき
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