犯罪の世間学 - なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか

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犯罪の世間学 - なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか

  • 著者名:佐藤直樹
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2018/07発売)
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  • ISBN:9784787233943

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内容説明

ときに海外メディアから称賛される治安のよさ、略奪や暴動を起こさず、起きたとしてもそれに厳しい目を向ける日本人――その感性を作り出す独特の秩序であり、法のルール以前に私たちを縛る「世間」。
歴史学者・阿部謹也が提唱した世間論の骨子を、「空気を読む」「既読スルー」「ママカースト」などを例に紹介し、「個人の消去」「贈与・互酬の関係」「高い同調圧力」「排他性」「呪術性」といった「世間」の特徴をまず解説する。
そのうえで、犯罪をケガレとしてソトに排除しながらも、反省と謝罪でゆるしてウチに包摂もするという相反する性質をもつ「世間」で排他性が強化されていることを、1990年代末以降に台頭する犯罪の厳罰化を導きの糸として明らかにする。また、イスラム国人質殺害事件の被害者家族の謝罪やさまざまなバッシング、ネットでの炎上などの具体例から、排他性を下支えする同調圧力が日本で近年、とくに高まっていることを指摘する。
そして、排除志向を強めた「世間」が、人々の息苦しさや閉塞感を加速させて犯罪を生み出す仕組みを、2008年の秋葉原無差別殺傷事件、12年の『黒子のバスケ』脅迫事件、14年の佐世保高一女子同級生殺害事件の3つの事件を具体例にして精緻に読み解いていく。
ニッポン礼賛がテレビやネットにあふれファシズムにも似た「空気」が覆う日本の現状に、「世間」という視点から鋭く迫る時代診断の書。

目次

はじめに

第1章 犯罪を抑止する「世間」
 1 世間論素描
 2 日本型権力としての「世間」
 3 日本の犯罪率が低いのはなぜか

第2章 犯罪/処罰を取り巻く「世間」
 1 「処罰福祉主義」をめぐって
 2 一九九〇年代末の排除=厳罰化はなぜおきたのか
 3 「世間」の「復活」と「新しいファシズム」

第3章 犯罪を生み出す「世間」
 1 二〇〇八年:秋葉原無差別殺傷事件
 2 二〇一二―一三年:『黒子のバスケ』脅迫事件
 3 二〇一四年:佐世保高一女子同級生殺害事件

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

teddy11015544

8
日本社会の現在の病理を「世間」の復活というキーワードから説明している。なるほど。日本は中世を引きずっている。学校も世間が支配している。ファシズムは個人から生まれるのではなく、世間の空気から生まれる。などなど、社会や職場、さらには家庭の事象を読み解くのに役に立つ矩である。2016/02/28

田中峰和

4
なぜ日本の犯罪率が先進工業国のなかで最低水準にあるのか。世間をキーワードにその理由を読み解く本書。世間とは国民が集団になったときに発生する力学のことで、個人の消去や高い同調圧力、贈与・互酬の関係、排除と包摂などの特徴をもつと唱える著者。犯罪加害者の親族が謝罪を強要されるのは、日本固有の世間が前提になっているのだろう。90年代末以降、犯罪の厳罰化が急速に進む日本。これらの背景には、新自由主義の浸透と拡大、そして後退していた世間が復活してきたからとも指摘する。不倫疑惑で葬られたベッキーも世間を敵に回したから?2016/03/14

新橋九段

2
書き忘れ。エビデンスの存在が気になる。2016/11/26

Degawa

2
日本人は、外国は、と一般化しすぎ。「外国は、〇〇」、と言うが、外国と言ってもいろいろあるし、「〇〇は日本にだけ見られる」、という主張も、私は複数の海外に住んだ経験があるが、首を傾げたくなることが多々あった。ありていに言えば与太話の域を出ない本。2016/03/11

抹茶ケーキ

2
犯罪と世間を絡めて論じる。世界でも極めて低い日本の犯罪率に世間が寄与しているというよくある話を発展させて、厳罰化やゼロ年代の犯罪を論じている。特に2章が面白かった。世間論を読むたびに思うけど、なんで先進西洋諸国ばっかりと比較するんだろう。どこか他の国、たとえば韓国とか地中海文化の国とかと比較したりしたほうが面白いんじゃないだろうか。別に先進西洋諸国がスタンダードってわけでもないんだし。2016/02/04

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