1970年代文化論

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1970年代文化論

  • 著者名:日高勝之
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  • 青弓社(2022/08発売)
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  • ISBN:9784787235084

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内容説明

〈政治の季節〉として語られる1960年代と、大衆消費社会やバブル文化で特徴づけられる80年代に挟まれた1970年代の文化は、2つの時代の「断絶」に位置して見過ごされ、戦後史での位置づけは不十分だった。

沖縄返還や日中国交正常化などの政治の動き、高度経済成長や第一次石油ショックなどの経済の変容を押さえたうえで、1970年代の映画、テレビ、雑誌、文学、音楽、アート、国家イベント、社会運動を横断的に考察する。その際、「家族・若者・中高年」「政治・性・マイノリティ」「国家・地方・周縁」などに注目しながら予断を排して検証する。

〈政治の季節〉から消費社会への過渡期という1970年代の単線的な歴史理解を退けて、新自由主義、新左翼、ポストモダン、戦後民主主義などが複雑に交錯した70年代の文化の深淵に迫り、「70年代とは何か」という問いに正面から応答する試み。

目次

序 章 みえにくい一九七〇年代 日高勝之
 1 〈政治の季節〉とバブルの時代のはざま
 2 一九七〇年代の一筋縄ではいかない複雑さ
 3 本書の構成と問題設定

第1部 家族・若者・中高年

第1章 「からかい」からみる女性運動と社会運動、若者文化の七〇年代――雑誌「ビックリハウス」におけるウーマン・リブ/フェミニズム言説を通じて 富永京子
 1 一九七〇年代の若者と政治
 2 若者文化の媒体としての「ビックリハウス」
 3 「ビックリハウス」は女性運動をどのように受容したのか
 4 相対主義的価値観と構造的格差の不可視化

第2章 家族とテレビドラマの一九七〇年代――「ホームドラマ」から「反ホームドラマ」への転換とその背景 米倉 律
 1 テレビドラマ史のなかのホームドラマ
 2 反ホームドラマの登場
 3 一九七〇年代の家族の「両義性」
 4 「お茶の間」の解体とテレビ視聴の個人化

第3章 「司馬史観」への共感とポスト「明治百年」――「教養主義の没落」後の中年教養文化 福間良明
 1 一九七〇年代と司馬ブーム
 2 「教養」としての「余談」
 3 高度経済成長後の社会とビジネスマンの読者

第2部 政治・性・マイノリティ

第4章 大島渚と蓮實重彦――反時代・フランス・マゾヒズム 日高勝之
 1 反時代・反政治・反制度――連合赤軍事件と三島事件との遭遇
 2 「フランス」の威権と効用
 3 マゾヒズムと一九七〇年代

第5章 太田竜――ポスト新左翼の「革命」とアイヌ民族運動の胎動 藤巻光浩
 1 アイヌ革命論とアイヌ解放同盟
 2 革命の季節の到来と決裂
 3 太田にとっての「アイヌモシリ」
 4 アイヌにとっての「アイヌモシリ」
 5 太田にとってのアイデンティティの季節

第6章 東郷健――マイノリティ・ポリティクスとアートの不都合な関係 長崎励朗
 1 「おかま」の政治演説
 2 美輪明宏と東郷健――セクシュアル・マイノリティをめぐる芸術と政治
 3 「The Gay」とその時代
 4 雑民の会と当事者性
 5 一九七〇年代が提示した課題

第3部 国家・地方とメディア
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tatsuhito Matsuzaki

11
政治闘争や学生運動に象徴される60年代と、昭和末期のバブルが産まれた80年代の狭間にあって、顧みられる事の少ない70年代の文化を検証分析した一冊。 著者と同じく、この時代に少年期を過ごした自分でしたが、思い返すと時代の記憶は不鮮明で、かつ、想いも強くはなかったです。 しかし、三島事件や連合赤軍事件が前時代からの転換点であり、テレビドラマがホームドラマから反ホームドラマへと転換した時期であった事は同感しました。 ちなみに、著者の日高氏が70年代を再考する研究に駆り立てた動機があとがきに語られています。2022/11/26

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