フェイクニュースの生態系

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フェイクニュースの生態系

  • 著者名:藤代裕之
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  • 青弓社(2021/09発売)
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  • ISBN:9784787234971

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内容説明

アメリカ大統領選挙以降、フェイクニュースは国内外を問わず社会的な問題となっている。だが、国内の実態はほとんど明らかになっていない。日本国内のフェイクニュースはどのように生まれ、なぜ広がるのか。

2017年の衆議院議員総選挙、18年の沖縄県知事選挙の2つの選挙、20年の新型コロナウイルス感染症拡大時の「デマ」――各事例をもとに、ソーシャルメディアやまとめサイト、既存メディア、ポータルサイトの相互作用で、フェイクニュースが生成・拡散するプロセスを実証的に分析する。そして、フェイクニュースは、ソーシャルメディア時代において、ニュースが生成され、拡散するニュースの生態系そのものから生み出される構造問題であることを指摘する。また、フェイクニュースに対抗するために必要性が議論されているメディアリテラシーやファクトチェックについては、逆効果になりかねないと警鐘を鳴らす。

汚染の構造と複合的な要因を踏まえ、フェイクニュース生態系における汚染の連鎖を断ち切るために、プラットフォームを運営する企業、既存メディア、個人、それぞれの役割を確認する。そのうえで、多様なメディアと多様な考えの人々により構成され、相互作用が生み出す豊かなニュース生態系を実現する道筋を照らし出す。

目次

はじめに 藤代裕之

第1部 構造

第1章 フェイクニュースとは何か 耳塚佳代
 1 フェイクはニュースを装っている
 2 古くて新しい問題
 3 政治家による恣意的な利用
 4 国際的な情報区分の整理
 5 「新奇性仮説」が拡散の原動力
 6 複雑な定義が示す汚染の深刻度

第2章 フェイクニュースはどのように生まれ、広がるのか 藤代裕之/川島浩誉
 1 フェイクがニュースになる
 2 国内のニュース生態系の特徴
 3 ミドルメディアが生成する
 4 ミドルメディアが拡散する
 5 フェイクニュース・パイプラインの発見
 6 ポータルサイトの無責任

第3章 汚染されたニュース生態系 藤代裕之
 1 メディアが汚染を引き起こす
 2 コロナの「デマ」が明らかにした「ズレ」
 3 新聞が担うフェイクニュース・パイプライン
 4 人々の関心に対応できず
 5 政府の介入に加担するメディアの失策
 6 「ズレ」が示す記事制作手法の課題

第2部 対抗

第4章 フェイクニュースは検証できるのか 藤代裕之
 1 わずか二件のフェイクニュース
 2 記者から懐疑的な声
 3 変容するニュース生態系
 4 揺らぐ選挙報道の「原則」
 5 ネットメディアとフェイクニュースの共通項
 6 誰のための検証か

第5章 ファクトチェックが汚染を引き起こす 藤代裕之
 1 岐路に立つファクトチェック
 2 攻撃に使われるファクトチェック
 3 記事が「武器化」を誘発
 4 隠れていた排外・反メディア
 5 なぜ汚染を引き起こすのか
 6 効果的なファクトチェックのために

第3部 未来

第6章 フェイクニュースのなかを生きる若者 藤代裕之
 1 フェイクを見たのは一一%
 2 検索したら目に入る
 3 ネガティブな経験が生む懐疑的な態度
 4 能動的なスキルを受動的と表現する
 5 見た/見ていないでメディア接触に差
 6 「フェイクを信じる若者」は本当か
 7 汚染のなかで生きる知恵

第7章 汚染とメディアリテラシー 耳塚佳代
 1 幅広い世代の問題
 2 メディアリテラシーの課題
 3 距離を置くことの大切さ
 4 批判的思考の危険性
 5 ジャーナリストも見抜けない
 6 リテラシーは無効化されている

第8章 新たなニュース生態系の確立に向けて 藤代裕之
 1 複合要因による生態系の汚染
 2 汚染の連鎖を断ち切る
 3 正しさへの希求から抜け出す


巻末資料 The commitments of the code of principles 耳塚佳代/藤代裕之訳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

駒場

9
フェイクニュースを「ファクトチェック」「真実を求める姿勢」で打破するのは不可能!?まとめサイトなどのミドルメディアを筆頭に汚染されまくったニュースの生態系、PV至上主義が既存メディアをも蝕み、「こたつ記事」が量産されていく。人々はファクトチェックを敵への攻撃に使い、既存メディアへの批判精神と真実を求める姿勢から“インターネットで真実に目覚め“てしまう。第三者機関によるチェックなどが対策として示されているが、こんだけ汚染されてたらもうどうにもならんのとちゃうか!?と言いたくなる、悲しい現実を突きつけてくる本2022/03/11

ががが

4
フェイクニュースの発生と拡散のメカニズムについて。旧来のマスメディア、新興のソーシャルメディア、そしてポータルサイトやまとめ記事などのミドルメディアをニュースを生成する構成員とし、転載や連携によってニュースが変質し、フェイク化していく構造を生態系として鳥瞰的に捉えている。事実を捻じ曲げてしまうフェイクニュースの温床となっているのはデジタルメディアに蔓延るページビュー至上主義で、ニュースの役割がエンタメに偏ってしまった結果とも考えられる。確かに陰謀論も娯楽として割り切って読めば面白いという話はわりと聞く。2023/03/02

ダンボー1号

4
恥ずかしながら「米国議会襲撃事件」そのものがフェイクだと思って スルーしてよく知らなかったが最近別の本でフェイクニュースから扇動された事件と聞き驚いたので読みたくなる。 数年前読んだ本に書かれていた言葉が生きてくる。 「人は自分が信じたい情報を真実だと思い 信じたくない情報は嘘だと思う」が金言であったし  「日本で起きていることは世界で起きる。世界で起きていることは日本でも起きる」 「日本の悪いところと外国のいいところを比較 日本のいいいところと外国の悪いところの比較 どちらかに偏らないように」2022/05/04

まおまお

4
ツイッター保守派ネット右翼とカテゴライズされている方々の名前(アカウント名)が次々とフェイクニュースの発信者として挙げられていたのが印象的だった。ビジウヨから政治スタンス、メディアの思惑、そして正しさを求めるあまりフェイクをまじめに拡散し続けているアカウントなど、フェイク発信する動機はざまざまである。それらにどう対応したらよいか?そのニュースを見ただけで胡散臭いと判断できる人はいいが、なぜかフェイクしか信じる能力がないひともかなりの割合存在している。しかもその元凶が構造構築する権力者側なのでやっかいだ。2021/12/08

K.C.

3
編著者がラジオに出演して知る。内容には大変不満(もちろん編著の内容にではない)。タイトルのとおり「生態系」として循環関係があり、そこにしっかりマスメディアが一枚かんで、マスメディアの質の劣化がフェイクニュースを増殖させている結論。解説もない「こたつ記事」が一般紙にも出てくるご時世だからこそ、マスメディアの人にも読んで欲しい一冊。2022/02/23

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