内容説明
パフォーマンス化しキャッチフレーズ化する政治を筆頭に劇場と称される事象が頻発し、マスメディアとインターネットが作り上げるそれら熱狂的な騒動は爆発的な勢いで全国を席巻しては消滅していく。情報を受容し消費するはずの側があたかも「お祭り」の主役であるかのように幻惑され、劇場に躍り出ては大騒ぎを演じ続ける。テレビとWeb2.0が作り出すメディア空間、刹那的なものではあれ共同体を希求する「自己」、「物語の終焉」後に獲得された「物語」もどき、表出するためのコミュニケーションスタイルなどの切り口から、激情に身を任せる劇場型社会の「お祭り」を形式レベルと表層構造で解説し、メカニズムの深層にメスを入れる。
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目次
はじめに――「お祭り党」が出現している!
第1章 東国原劇場の出現
1 宮崎で発生した「お祭り」――しがらみ、汚職にウンザリしていた宮崎県民
2 選挙公示とともに「お祭り」は始まった
3 「お祭り=そのまんま東劇場」の十分条件――パフォーマンス能力とテレビ・メディア力
4 予想外の結果か、必然的結果か
5 東国原劇場の開始――選挙後も劇場は続く
6 「東国原帝国」の誕生?
7 メディアの利用――東国原知事のメディア活用術
8 県民総力戦のゆくえ
9 見た目の時代――政治と芸能は似ている
第2章 「お祭り党」とフラッシュ・モブ
1 二〇〇七年参院選を不安視した自民党の読み違い――「お祭り党」の存在を知らないがゆえの
2 フラッシュ・モブ――「お祭り党」のプロトタイプ
3 日本のフラッシュ・モブの特殊性
4 「お祭り党」は日本版フラッシュ・モブの巨大版
5 「お祭り党」からみた二〇〇七年統一地方選と参院選
第3章 「お祭り党」の表層構造
1 「お祭り」発生の二つの条件――「メディアの魔術師」と「メディア・イベント」
2 カリスマ系=メディアの魔術師
3 メディア・システム系=メディア・ディスクール媒介型
第4章 テレビ的メディア空間の出現――Web2.0は「お祭り」を扱えない
1 Web2.0のパラダイム
2 Web2.0は「お祭り」を扱えない
3 テレビとWeb2.0を往還的に扱うことで「お祭り」は見えてくる
4 メディアはメディア空間のなかで語られなければならない
第5章 物語の終焉――「お祭り」のマクロ構造1
1 「お祭り」の深層にメスを入れる
2 共同体
3 「想像の共同体」の出現
4 近代的自己の成立
5 〈物語〉と〈自己〉の変遷
6 一九九〇年代後半以降、人々はどうやってアイデンティティを確保するのか
第6章 物語と「お祭り」――「お祭り」のマクロ構造2
1 〈大きな物語〉は消滅したのか
2 持続性をもたない〈大きな物語〉が生まれた土壌――多様化と均質化の同時進行
3 「お祭り」は危険か?
第7章 「お祭り」とコミュニケーション――「お祭り」のミクロ構造
1 「お祭り」とテレビ
2 コミュニケーションの機能
3 表出機能の変容
4 「テレビくん」というお友達?の出現――「情報消費」
5 テレビ・ネタを介したコミュニケーション――「表出へ向けたネタ仕込み」
6 「お祭り」――そのさまざまな重層決定要因
7 「お祭り」を飼い慣らすために
あとがき