内容説明
長く苛烈だった夏がようやく終わり,秋の気配が色濃くなってきたと思ったのもつかの間,朝晩の冷え込みの中にはうっすら冬の足音さえも聞こえるようです。夏と冬の間にごく短い秋と春がある(四)季にあっては,折々の季節のことばがもつ意味も移ろってゆくのでしょうか。
11月号の特集は民事訴訟法。基本七法特集も6法目となりました。民事訴訟法において,判例・実務と学説の役割はどのように変化し,進展してきたのでしょうか。裁判実務の視点も含む厳選の6項目でお送りします。ぜひ,4頁の特集扉からお読みください。
「新法解説」では,第217回国会で成立した「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」を取り上げました。非常に技巧的で難解と評されることもある法律ですが,譲渡担保等に関するはじめての制定法であり,画期とも言えるものです。民法のテキストなどで学んだ動産譲渡担保についての規律が,新法においてどのように整理され規定されたのか。限られた紙数のもと,民法の学習に必要な情報を整理・明快にご解説いただきました。ぜひご一読ください。
目次
◆特集 民事訴訟法の解釈における判例・実務と学説
Ⅰ 当事者の確定…八田卓也
Ⅱ 確認の利益…酒井博行
Ⅲ 将来給付の訴えの利益…栁川鋭士
Ⅳ 信義則による遮断…渡部美由紀
Ⅴ 相殺と重複起訴…畑宏樹
Ⅵ 民事裁判実務と学説――権利能力のない社団の財産帰属をめぐる紛争の審判対象…髙原知明
【巻頭言】
質問…垣内秀介
【法学のアントレ】
〔第104回〕
「恩師」とは何か?――法学における「師弟関係」をめぐって…森勇斗
【新法解説】
譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律…青木則幸
◆講座
【憲法の基本原理から見る統治】
〔第19回〕
議院内閣制…高田篤
【最新判例に学ぶ行政法解釈】
〔第8回〕
法的根拠なき通知の処分性――最判令和4・12・13民集76巻7号1872頁…戸部真澄
【法と経済学から見た民法判例】
〔第8回〕
共同不法行為――最判平成13・3・13民集55巻2号328頁(百選Ⅱ・87事件),最判令和3・5・17民集75巻5号1359頁(百選Ⅱ・88事件)…西内康人
【ちょっとだけ寄り道,会社法】
〔第8回〕
取締役の報酬――ESGと開示規制…小宮靖毅
【民事執行・保全法の考え方】
〔第10回〕
金銭債権の差押え・仮差押え…青木哲
【刑法総論の秘密、刑法各論の秘訣。】
〔第8回〕
胎児性致死傷と結果の概念…和田俊憲
【演習】
憲法…大林啓吾
行政法…齋藤健一郎
民法…藤澤治奈
商法…森まどか
民事訴訟法…村上正子
刑法…松尾誠紀
刑事訴訟法…宮木康博
労働法…天野晋介
【判例セレクトMonthly】
西村裕一/興津征雄/田中良弘/古谷貴之/小柿徳武/工藤敏隆/齊藤彰子/池亀尚之

              

