内容説明
あっという間に季節がめぐり、出会いと別れの3月。人生の大きな節目を迎える方も多いのではないでしょうか。みなさまの春が、希望に満ちた晴れやかなものでありますように。
今月号の特集は「司法は人を救えるか」。社会装置の一つである司法制度の役割や限界について、「人を救う」というフィルターを通じて考察します。日々学んでいる法律学は、どのように人を救いうるのか。1年の最後に、教科書からすこし目を上げて、広く大きく複雑な、「人が生きる社会」を感じながら考えてみてほしいと思っています。
今号には国会概観「第212回国会主要成立法律」と時の問題「法律案の『一括化』と憲法」も掲載。先の国会でどのような動きがあったかをおさらいしつつ、現在会期中の第213回国会も横目にみつつ、「法案の出され方」についても意識を向けていただければ幸いです。
目次
◆特集 司法は人を救えるか
Ⅰ 司法はどのように人を救えるのか…飯田高
Ⅱ 司法が個人の痛みを認めないとき――憲法と取消訴訟の原告適格論…小川亮
Ⅲ 救済はどのように実現するのか――国籍法違憲判決を中心に…秋葉丈志
Ⅳ 国家賠償訴訟による救済の可能性と限界――国家賠償法1条1項の違法性の観点から…中尾祐人
Ⅴ 司法が人を救うとき――府中青年の家事件から振り返る…中川重徳
【巻頭言】
ルール違反を減らすには…川出敏裕
【法学のアントレ】
〔第84回〕「文化芸術」基本法…中村美帆
【国会概観】
第212回国会主要成立法律…梶山知唯
【時の問題】
法律案の「一括化」と憲法…大西祥世
◆講座
【憲法事例分析の技法】
〔第24回・最終回〕旧優生保護法の違憲性と司法的救済…御幸聖樹
【事例で学ぶ行政法ゼミナール】
〔第12回〕情報公開と公文書管理――沖縄返還「密約」情報公開請求事件…岡田正則
【点と点をつなぐ不法行為判例】
〔第6回〕民法724条1号の短期消滅時効の起算点論――手続法および不法行為制度目的論との関連を視野に入れて…長野史寛
【流れをつかむ民事訴訟法】
〔第24回・最終回〕IT化後の民事訴訟手続…笠井正俊
【近時の判例で学ぶ刑法】
〔第12回〕包括一罪の成否――最決平成26・3・17刑集68巻3号368頁…田中優輝
【刑事訴訟法のフレームワークを考える】
〔第11回〕起訴裁量主義…宇藤崇
【演習】憲法…尾形健/行政法…田中良弘/民法…林誠司/商法…柳明昌/民事訴訟法…秦公正/刑法…古川伸彦/刑事訴訟法…緑大輔/レポート(国際法)…藤澤巌
【判例セレクトMonthly】西村裕一/興津征雄/白須真理子/石川真衣/池田愛/齊藤彰子/池亀尚之