紀伊國屋書店 出版部 図書目録

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文 学(小説・ノンフィクション・エッセイ)

2019年1月現在

娘時代 ある女の回想1

46判 342頁 本体価格2,400円+税
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 朝吹登水子訳(1961) 〈978-4-314-00017-8〉
ボーヴォワールの代表作として全世界の絶讃を浴びる自伝の第一部。パリの弁護士の長女シモーヌ。両親の期待は,娘を良家の淑女に仕立てることにあった。告白。聖体拝受。やがてこの感受性に富んだ少女に目覚めが訪れる。級友ザザと従兄ジァークへの愛のあと,ひとり思想の自立を求めて旅立とうとする彼女の前に現われたのが,サルトルとそのグループであった。

女ざかり ある女の回想2

46判
 上 346頁 本体価格2,500円+税 (1963)〈978-4-314-00106-9〉
 下 238頁 本体価格2,000円+税 (1963)〈978-4-314-00107-6〉
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 朝吹登水子,二宮フサ訳
大学卒業後,高校教師として赴任するボーヴォワールとサルトル。ふたりの間に育ちゆく愛情と仕事への情熱。しかし世界の情勢は厳しい。スペイン内戦,ナチスの抬頭,そして大戦。召集されてゆくサルトルや抵抗運動に斃れた親友や仲間たち。やがて来るパリ解放まで,これはきびしい試練と闘いつつ変貌するひとりの女の実存の姿を描く一大モニュメントである。

或る戦後 ある女の回想3

46判
 上 308頁 本体価格2,500円+税 (1965)〈978-4-314-00029-1〉
 下 400頁 本体価格2,800円+税 (1965)〈978-4-314-00030-7〉
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 朝吹登水子,二宮フサ訳
回想はようやく戦後に入る。フランスの代表的知識人として世界で注目を浴びるようになった二人。しかし彼らを取り囲む環境は厳しい。朝鮮戦争,アルジェリアの独立戦争,ドゴール政権の誕生。一切の俗物精神と果敢に闘いつつ,若々しい情熱をもって労作を生んでゆく彼らの姿は,単なる個人的回想にとどまらず,優れたフランス戦後文学史・社会史ともなっている。

決算のとき ある女の回想4

46判
 上 272頁 本体価格2,300円+税 (1973)〈978-4-314-00108-3〉
 下 224頁 本体価格2,000円+税 (1973)〈978-4-314-00109-0〉
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 朝吹三吉,二宮フサ訳
自伝四部作の完結篇。1963年以降の彼女の著作活動,読書生活,日本をはじめ中東,東欧,ソヴィエトなどへの旅行,友人たちとの交流,五月革命や女性解放運動への対応などとともに,現代の政治や文化のさまざまな問題に言及しながら,作家としての彼女の活動を自己の人生に明確に位置づけている。

おだやかな死

46判 178頁 本体価格1,553円+税
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 杉捷夫訳(1995) 〈978-4-314-00697-2〉
「つらい仕事である。死ぬことは。生をこんなに強く愛しているときは」。突然倒れた母親の病名は癌だった――ボーヴォワールが自身の母の入院からその死にいたる,4週間の出来事を書き綴った身辺記。愛する母を看取る苦悩の中で,それでも「母の死」という普遍的な問題に作家としての厳しい眼差しを向け,「人にとって死とは/つまり生とはなにか」を問いかける。

プルースト・母との書簡

46判 268頁 本体価格2,400円+税
フィリップ・コルブ編 権寧訳(1999) 〈978-4-314-00847-1〉
マルセル・プルーストと,彼の最愛の人,母との書簡集。16歳の時に最初のものを書き,母の死によって交信が永遠に途絶える彼の34歳までの149通を収録する。これらの手紙は,人格形成の重要な時期におけるプルーストの内面生活の深いところまで,われわれを導くものであり,彼が生長していった環境を十全に物語ってくれる修正なしのポートレートである。

トーマス・マン日記 1918-1921

46判 848頁 本体価格17,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫,伊藤暢章,洲崎惠三,前田良三訳(2016) 〈978-4-314-01133-4〉
生前,幾たびか自らの「古い日記」を焼いていたとされるマン。残されたのは,おそらくは『ファウストゥス博士』執筆のため取りのけられ,奇跡的に「後世のために救われた」第一次世界大戦期の日記と亡命以後の日記,27年分だった。本シリーズはマンの死から20年後にはじめて公にされた,この日記すべてに詳細な注を付した,文学・近代史研究に必備の資料である。

トーマス・マン日記 1933-1934

46判 720頁口絵16頁 本体価格8,544円+税
トーマス・マン 岩田行一,浜川祥枝,森川俊夫訳(1985) 〈978-4-314-00456-5〉
1933年2月,講演旅行に出たままナチ政権下のミュンヒェンに戻る途を閉ざされたマン。1929年にノーベル文学賞を受賞し,世界的な名声を得ていたとはいえ,やがて58歳を迎えようとした年に,帰るべき家をなくしたマンの不安と焦燥と怒り。マンはスイス・チューリヒにひとまず居を定め,帰国の可能性を模索しながらも,小説『ヨゼフとその兄弟たち』の執筆を続ける。

トーマス・マン日記 1935-1936

46判 760頁 本体価格8,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫訳(1988) 〈978-4-314-00498-5〉
急展開をみせるヨーロッパの情勢。チューリヒの仮住まいを生活の拠点としながら,執筆の合い間にプラハ,ヴィーン,アメリカなどでの講演活動を続けていたマンだったが,ヒトラー政権がその非人間的性格を露呈するにつれ,ドイツに戻る可能性を断念。「人間愛」の思想に立ち返り,ついに亡命の意思を表明,国籍を剥奪される。

トーマス・マン日記 1937-1939

46判 984頁 本体価格12,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫訳(2000) 〈978-4-314-00855-6〉
第二次世界大戦前夜から開戦にかけて,緊迫する世界情勢のなかで綴られた日記。「ヒトラーの無血侵攻くらい厭うべきものはなく,それ以外なら何でもいいというほどだ」――政治の推移を見守りつつ,ヒトラーへの激しい怒りを募らせるマンは亡命の身の上からアメリカへの移住に踏み切り,ファシズムとの新たな闘いを開始する。

トーマス・マン日記 1940-1943

46判 1280頁 本体価格11,650円+税
トーマス・マン 森川俊夫,横塚祥隆訳(1995) 〈978-4-314-00717-7〉
戦乱のヨーロッパを追われたマンは,米西海岸で新生活を始める。本書に収められた1940年から1943年の4年間,マンはかつてない集中力と影響力をもって自身の時代のために活動し,「デモクラシーの巡回説教師」として講演活動を続け,ローズヴェルト大統領とも面談を果たした。激動の時代のただなかにあって記録された,歴史ドキュメントの傑作。

トーマス・マン日記 1944-1946

46判 928頁 本体価格14,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫,佐藤正樹,田中暁訳(2002) 〈978-4-314-00909-6〉
第二次世界大戦の嵐が吹き荒れるなか,アメリカに生活の拠点を移したマンは,精力的に活動を続ける。ラジオ放送でドイツへの呼びかけを行い,パレスティーナ白書について声明文を出し,ユダヤ人芸術家への迫害に抗議する――激動の時代のただなかで声をあげ続けるマン。やがてヒトラー・ドイツは崩壊し,ヨーロッパの再建の胎動が始まる。

トーマス・マン日記 1946-1948

46判 1000頁 本体価格16,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫,洲崎惠三訳(2003) 〈978-4-314-00952-2〉
大病を患い,手術から生還したマンは,それまでにもまして執筆活動に情熱を燃やし,晩年の代表作『ファウストゥス博士』を完成させる。この時期,マンは戦後初めてヨーロッパ各国への旅行を敢行,戦争の傷跡を肌で感じ,講演をして歩くが,母国ドイツへの入国はかなわなかった。

トーマス・マン日記 1949-1950

46判 776頁 本体価格14,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫,佐藤正樹訳(2004) 〈978-4-314-00971-3〉
16年ぶりに祖国ドイツを(東独も)訪問,ゲーテ賞を受賞したマンを待っていたのは,朝鮮戦争と東西冷戦のさなか,マッカーシズムが吹き荒れるアメリカでの「共産主義者」としての迫害だった。FBIの尾行もつくなかで,ヨーロッパへ住居を移すことを思案しはじめるマン。時代の証言者としてのマンの心中は?

トーマス・マン日記 1951-1952

46判 880頁 本体価格16,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫訳(2008) 〈978-4-314-01048-1〉
非米活動委員会が政治的・精神的雰囲気を支配していたアメリカに耐えられなくなったマンは,長期のヨーロッパ旅行を繰り返すようになる。一方で,ドイツの過去の清算の不徹底にも批判的であったマンは,「国民の精神的政治的指導者」として帰国してほしいとのドイツからの要請を断り,苦悩の決断としてアメリカでの生活に終止符を打ち,スイスへの移住を決める。

トーマス・マン日記 1953-1955

46判 934頁 本体価格17,000円+税
トーマス・マン 森川俊夫,洲崎惠三訳(2014) 〈978-4-314-01111-2〉
躊躇,逡巡の末,マッカーシー旋風吹き荒れるアメリカから,東西対立がなお市民生活に暗い影を落とすヨーロッパはチューリッヒへと移住。鬱陶しい政治状況,また老いにより衰えゆく力を自覚しながらも,レジョン・ドヌール勲章受章などの「祝宴」に鼓舞され,旺盛に執筆活動を続けるマン。しかし,最期の時は迫っていた。死の2週間前まで書き継がれた,最晩年の日記。

生誕の災厄

46判 288頁 本体価格3,000円+税
E.M.シオラン 出口裕弘訳(1976) 〈978-4-314-00147-2〉
これは痛覚で書かれた本,痛覚で読むべき本である。アフォリズムとは暖のとれない火だと自らを皮肉るシオランの「毒」と「徳」には一層磨きがかかり,内的哄笑を誘う独特のユーモアと強烈なシニシズムは類を見ない。暗黒の詩情に満ち男っぽく屈折した文体で人間観察の鋭さを示したシオランの真髄を,流麗な日本語になった本書において,存分に味わって頂きたい。

告白と呪詛

46判 256頁 本体価格2,800円+税
シオラン 出口裕弘訳(1994) 〈978-4-314-00694-1〉
80歳代も近くなったシオランが,みずからの老い,そして死に向きあいつつ著わしたこの本が,彼の最後の作品となった。皮肉と毒舌に満ちた断章の連続はあいかわらずだが,ここには暗さ,激しさよりもむしろ,人間の最も暗く醜い部分をも軽やかに嘲笑う枯れたユーモアが漂っている。
入魂の名訳でおくる「シオランの到達点」。

歴史とユートピア

46判 200頁 本体価格3,000円+税
E.M.シオラン 出口裕弘訳(1967) 〈978-4-314-00037-6〉
「人間は自分の遂行した一切の征服行為を,『歴史』の中での一切の前進の歩みを,やがては償わねばならないのである」――自称「狼狂」の思想家が,世界に蔓延する楽園願望への強烈な皮肉と呪詛をこめて,資本主義と社会主義双方の陥穽を衝く。著者初の邦訳書にして代表作。

化学の結婚 付・薔薇十字基本文書 〈普及版〉

46判 356頁 本体価格3,600円+税
ヨーハン・V.アンドレーエ 種村季弘訳・解説(2002) 〈978-4-314-00931-7〉
17世紀初頭のドイツ,匿名作者による4つの「基本文書」公刊を機に姿を現わし,全欧に波及した思想運動を担った秘密結社「薔薇十字団」。ゲーテやモーツァルト,フランシス・ベーコンらのちの思想や文学にも大きな影響を及ぼした「基本文書」の全訳から,その謎に迫る。碩学・種村季弘による50頁におよぶ解説「ヴァレンティン・アンドレーエと薔薇十字団」を付す。

海辺のフィアンセたち

46判 288頁 本体価格2,500円+税
ミシェル・トゥルニエ 松田浩則訳(1998) 〈978-4-314-00828-0〉
「家」「身体」「子供たち」「イメージ」「町」「風景」「本」「死」――魅力的な8つのテーマをめぐる61の世界の断面。著者はドゥルーズと哲学を学び,バシュラールとも親交があったゴンクール賞作家。美しい死,ヌードの肖像写真,お尻礼讃,ルイス・キャロルのエロチシズム,聖書をめぐる考察などについて,自在な語り口を披露する,待望の短篇集。

朝まだきの谷間

46判 264頁 本体価格2,200円+税
ラファエル・コンフィアン 恒川邦夫訳(1997) 〈978-4-314-00813-6〉
クレオール文学の若きリーダーである著者が,「シャバン」(混血児)と呼ばれる自らの少年時代を,闊達な文章で描いた話題作。カリブ海のマルチニックに育った少年が,奴隷だった自分たちの歴史を知り,やがて作家への道を選ぶまでを,カーニヴァルの喧騒や不思議な風習,魅力的な人物たちをめぐるエピソードとともに語る。カサ・デ・ラス・アメリカナス賞受賞作。

カリブ海偽典 最期の身ぶりによる聖書的物語

46判 972頁 本体価格6,600円+税
パトリック・シャモワゾー 塚本昌則訳(2010) 〈978-4-314-01067-2〉
カリブ海の小さな島で,一人の老人が死の床に就いている。彼は,第2次大戦後に世界各地の植民地独立戦争に参加したかつての島の英雄である。今では忘れられたこの男が身ぶりで語るその生涯を,言葉の記録人が必至に書き取っていく。植民地支配に抵抗した男の闘いとは?その闘いの持つ意味とは?クレオール文学を越えた世界的傑作,ついに翻訳! 日本翻訳文化賞受賞。

美しい鹿の死

46判 160頁 本体価格1,600円+税
オタ・パヴェル 千野栄一訳(2000) 〈978-4-314-00863-1〉
「カレル・チャペックの再来」と絶賛されながら,本書を残して急死した作家の待望の連作短編集。強制収容所へ行く息子の最後のご馳走のために,命をかけて禁じられた鹿狩りをする表題作はじめ,ユダヤ系の父親と家族の絆を,愛情とユーモアに満ちた文章で描いている。本書は戦後チェコ最大のベストセラーとして,今なお愛蔵版が作られ続けている。

最初の愛はいつも最後の愛

46判 240頁 本体価格1,800円+税
ターハル・ベン=ジェルーン 堀内ゆかり訳(1999) 〈978-4-314-00838-9〉
《これらの物語は愛についてしか語っていません。愛,すなわち孤独や秘密,それが生み出す無理解について/著者の言葉から》。アラブの男女の愛を描きつづけている,モロッコ人初のゴンクール賞作家による,16の愛の物語。夫を共有しようとした二人の女の企みの結末や,嫉妬に狂った男の選択――愛を求めて,互いに求め続ける男女の性愛を描いた待望の短編集。

あやまちの夜

46判 320頁 本体価格2,200円+税
ターハル・ベン=ジェルーン 菊地有子訳(2000) 〈978-4-314-00883-9〉
魅惑の街・タンジェに住む少女ジーナは,成長して不思議な力を発揮し,自分や女たちを傷つけてきた男たちに復讐を始める。はたしてジーナとは何者なのか? 彼女の物語につかまった講釈師やスーフィの5人の謎の男,ジーナに付き従う5人の女の正体は? 物語はやがて,サルマン・ラシュディやアラブの現在に至る,壮大な流れに巻き込まれていく。

誰も知らないわたしたちのこと

46判 280頁 本体価格1,800円+税
シモーナ・スパラコ 泉典子訳 室月淳解説(2013) 〈978-4-314-01112-9〉
不妊の末に授かった息子には,出生前診断によって重大な疾患が発見された――選べるはずのないことを選ばされ,孤立感と絶望のあいだを揺れ動く35歳のフリーランス・ジャーナリスト,ルーチェの魂の彷徨を,著者みずからの体験をもとに描いて大きな反響を呼んだイタリアのベストセラー。ローマ賞受賞。イタリア最高の文学賞・ストレーガ賞最終候補作。

東四丁目

46判 294頁 本体価格2,200円+税
ジェローム・ワイドマン 常盤新平訳(2000) 〈978-4-314-00879-2〉
1920年代のニューヨーク,ヨーロッパからの移民が暮らす貧しい町を舞台に,一人のユダヤ系少年の成長を描いた自伝的小説。愚直に自分の信念を貫く父親や生命力あふれる母親をはじめ,友達や教師,魅力的な町の人々を,少年の目から生き生きと描く。当時の移民コミュニティや大恐慌,戦時下の生活もよくわかる。

砂浜

46判 160頁 本体価格1,500円+税
佐藤雅彦(2004) 〈978-4-314-00963-8〉
テレビCM,映画,ゲームソフト,経済入門,教育番組......常に新しいジャンルに挑戦し,独自の世界を創造してきた表現者が長年温めてきた,初めての物語集。みずからの原風景とも言うべき「砂浜」を舞台に,少年たちの小さな世界をそのままそっと封じ込める。早乙女道春氏による生き生きとした挿絵,辻村益朗氏による飽きのこない装丁も味わい深い。

ちょうちょ地雷 ある戦場外科医の回想

46判 248頁 本体価格1,600円+税
ジーノ・ストラダ 荒瀬ゆみこ訳(2002) 〈978-4-314-00929-4〉
アフガニスタン,ボスニア,クルディスタン,ルワンダなど,世界中の紛争地域で医療活動をしてきた外科医による日記風エッセイ。過酷な野戦病院の現実,地雷や爆撃などで傷を負った患者たちとのふれあい,さまざまなジレンマに悩む医師の心境が率直に綴られ,そこに生きる人々の声がじかに聞こえてくるようで,読む者の心を揺さぶらずにはおかない一冊である。

台湾少女、洋裁に出会う 母とミシンの60年

46判変型 272頁 本体価格1,700円+税
鄭鴻生 天野健太郎訳(2016) 〈978-4-314-01143-3〉
もうひとつの「カーネーション」がここにあった! 日本統治下の1930年代の台湾に洋裁に夢を託した少女がいた。『主婦之友』『婦人倶楽部』...日本の婦人雑誌に魅了された少女は親の反対を押しきって洋装店の見習いとなり,やがて戦前の東京に留学を果たす。戦後,台南に自ら洋裁学校を開校する彼女が息子に語った来し方から台湾の近代が浮かび上がる。

ゴールド・マウンテン ある中国系移民家族の百年

46判 512頁 本体価格3,800円+税
リサ・シー 住友進訳(1999) 〈978-4-314-00849-5〉
大陸横断鉄道の敷設,中国人排斥,世界恐慌,15年戦争......激動するアメリカ社会,時代の波に飲み込まれながらもたくましく生きていく中国系移民たちがいた。差別と闘い,自分たちの 居場所を獲得しようとする彼らの姿を,中国南部の貧村からアメリカに渡り,チャイナタウンの「ゴッドファーザー」に成り上がった男とその家族を中心に描くノンフィクション巨編。

プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

46判 448頁 本体価格1,900円+税
アン・ウォームズリー 向井和美訳(2016) 〈978-4-314-01142-6〉
カナダの刑務所で月に1度開かれる読書会。『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』...本をかこんでのやりとりを通して,囚人たちは読書の楽しみを知り,自らの心情を吐露し,人種や宗教の壁を越え,異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。ボランティアとして運営に関わったジャーナリストが見た,囚人たちの変化とは。胸に迫るノンフィクション。

アルカイダから古文書を守った図書館員

46判 352頁 本体価格2,100円+税
ジョシュア・ハマー 梶山あゆみ訳(2017) 〈978-4-314-01148-8〉
37万点もの歴史遺産はいかに救われたか――西アフリカのトンブクトゥは金や岩塩,奴隷などの交易で繁栄,イスラム文化が花開き,16世紀には100以上のコーラン学校やモスクが建てられた「古の学術都市」である。各家庭でひそかに保存されてきた往時の古文書の多くが図書館に納められて数年後,アルカイダがマリ北部を制圧した。全米で話題をよんだノンフィクション。

スコット親子、日本を駆ける 父と息子の自転車縦断4000キロ

46判 368頁 本体価格1,900円+税
チャールズ・R.スコット 児島修訳(2015) 〈978-4-314-01123-5〉
アメリカ人親子が67日間の冒険旅行で出会った日本の自然・歴史・もてなしの心――知床,白神山地,白川郷,京都,しまなみ海道,ヒロシマ,嚴島神社...インテル社で働く著者が,8歳の息子と日本最北端の宗谷岬から九州の佐多岬まで,日本アルプスを越え各地の世界遺産をめぐりながら炎天下の日本列島を自転車で走り抜く。日本人がニッポンを再発見できる本。

学校に通わず12歳までに6人が大学に入ったハーディング家の子育て

46判 304頁 本体価格2,000円+税
キッチナー・ハーディング,モナ・リサ・ハーディング 向井和美訳(2015) 〈978-4-314-01128-0〉
高校を卒業してすぐ結婚したハーディング夫妻は,10人の子どもを学校に通わせずに家庭で教育した。6人が12歳までに大学に入り,年長の子どもたちは様々な分野の専門職として活躍している。次女はアメリカ建築家協会最年少の建築家。三女は全米で最年少の女医のひとり。〈ごく普通の子どもたち〉の才能を開花させることに成功した一家の驚きのノンフィクション。

マーヤの自分改造計画 1950年代のマニュアルで人気者になれる?

46判 320頁 本体価格1,700円+税
マーヤ・ヴァン・ウァーグネン 代田亜香子訳(2017) 〈978-4-314-01146-4〉
メキシコとの国境にほど近い中学で,優等生だけど引っ込み思案のマーヤはスクールカーストの最下層にいた。そんな彼女はある日出会った古本をきっかけに,自らの格づけを上げるべく実験をはじめることにした。まず用意するのは白い手袋にパールのネックレスにガードル!? アメリカに暮らす現代のティーンが自分磨きに奮闘した1年を綴った,全米ベストセラー。

図説 死因百科

A5判 464頁 本体価格2,200円+税
マイケル・ラルゴ 橘明美監訳(2012) 〈978-4-314-01076-4〉
人はいつか死ぬ――そしてそこには死亡の理由が必ず存在する。おなじみの成人病や戦争から,安楽死,厚底靴,巨大イカ,宇宙人,出会い系サイトまで......。膨大な死亡記録を渉猟した著者による,いっぷう変わった死因を集めた「読む事典」。245項目の死因を50音順に解説し,ミニコラムや図版を多数収録。2006年ブラムストーカー賞ノンフィクション部門受賞作。

わが町・新宿

46判 380頁 本体価格2,000円+税
田辺茂一 坪内祐三解説(2014) 〈978-4-314-01124-2〉
明治の新宿に生まれ,昭和2年に21歳で紀伊國屋書店を創業。ロードスターで本を運び,ギャラリーを併設した店内で同世代の作家や画家たちと文芸誌を作った若き日から,戦後の再建を経て"夜の市長"と呼ばれた晩年まで。「眼くるめく変貌」を遂げた新宿の地で,文化を発信しつづけた書店主による回想記,待望の復刊。井伏@鱒二ら28名の「紀伊國屋と私」収録。

私のティーアガルテン行

46判変型 304頁 本体価格2,700円+税
平出隆(2018) 〈978-4-314-01163-1〉
詩人・作家として根強い人気を誇る平出隆の自伝的エッセイ。幼少期から思春期にかけて出会った恩師や,稲川方人や河野道代ら詩の仲間,大学時代の恩師・出口裕弘,澁澤龍彦や川崎長太郎ら編集者として出会った作家たち――透徹した美の世界を創造する作家を育んだ豊かな源流が,鮮やかに描かれる。

怪しの世界

46判 214頁 本体価格1,600円+税
橋本治,夢枕獏,いとうせいこう(2001) 〈978-4-314-00886-0〉
狂言,講談,琵琶――人気作家による新作台本と対談,エッセイを収録。「日本の芸能のわからなさ」の理由と「わかりかた」の秘密を書いた巻頭エッセイはじめ,対談には丁寧な脚注と写真が入り,入門書としても画期的な一冊。演者の野村萬斎,宝井馬琴,友吉鶴心と各作家の対談は,面白く貴重。古典芸能のファンだけでなく,わかりたい人にもお薦めの本。

60歳で夢を見つけた 動物園長、世界を駆ける

46判 232頁 本体価格1,500円+税
増井光子(2005) 〈978-4-314-00981-2〉
キラリと光る白髪,しっかり焼け込んだクッキーフェース,動物とともに生きた時間の勲章の色,少女のようないたずらっぽい目が笑う。日本人初の女性動物園長が,還暦を前に乗馬のマラソンへの挑戦を決断。人馬一体となって繰り広げる冒険と涙の物語。
吉永みち子氏推薦

光の誘惑 わが聖地行

46判 320頁 本体価格1,942円+税
松永伍一(1994) 〈978-4-314-00693-4〉
エーゲ海に臨む半島の端にある「修道院国家」アトスは,地上の天国ともいわれ,千年もの長きに渡り静かな時を刻んできたギリシャ正教の聖地。一方,エルサレムはユダヤ,キリスト,イスラムの三つの宗教の聖地がせまい市の中で混在し,血で血を洗う混乱と戦争が続いてきた。「静」と「動」。「純」と「濁」。「単」と「複」。対極をなす二つの聖地で詩人が見たものは......

イギリス人は「理想」がお好き

46判 208頁 本体価格1,600円+税
緑ゆうこ(2002) 〈978-4-314-00911-9〉
イギリス人と結婚,ロンドン近郊に暮らす作家が出会った,イギリスの本当の姿とは。医療費無料のおかげで受診は一年も先。政府の持ち家政策で国民は借金だらけ。庶民のガーデニングは植えては抜く活け花方式......それでも「イギリスは理想の国」だと信じるイギリス社会を考察した,ユーモアとスパイスの効いたエッセイ集。

イギリス人は「建前」がお得意

46判 232頁 本体価格1,600円+税
緑ゆうこ(2002) 〈978-4-314-00928-7〉
『イギリス人は「理想」がお好き』に続く第2弾。「イギリスの建前と本音から日本の将来を占う」視点で,ユーロ・家族・教育・若者・老人介護,と"ゆりかごから墓場まで"の各シーンにおけるイギリス社会の建前と本音を,明晰に読み解く。返す刀で「大人の国」ってホントにいいの? と日本人に問いかける,軽快でユーモラス,そしてピリッと辛い比較文化論。

植物になって人間をながめてみると

46判 336頁 本体価格1,800円+税
緑ゆうこ(2010) 〈978-4-314-01062-7〉
ロンドン郊外に暮らす"植物おたく"の著者が,ふと庭仕事の手を止めて考えた――もしかして私,植物に働かされてる?! サトウキビ,綿,紅茶,ゴム...植民地政策で一大帝国を築き上げた英国はじめ人間は長く植物を利用してきたと思っている。しかし,実はその逆だったとしたら...?! エネルギー,食糧,環境問題...植物目線で歴史を読み替えると見えてきた,意外な真実。

お隣りのイスラーム 日本に暮らすムスリムに会いにいく

46判変型 292頁 本体価格1,700円+税
森まゆみ(2018) 〈978-4-314-01155-6〉
現在日本に暮らすムスリムは10万人以上,その出身国は100以上,世界には16億人以上のムスリムがいる。東日本大震災のすぐあとに被災地支援を始めた大塚モスクの活動を手伝ったのをきっかけに,イスラーム世界の扉を開いた聞き書きの名手が,日本に移り住み,働く12か国13人のもとを訪ねた。多様で豊かなイスラーム世界が見えてくる!

感覚の幽い風景

46判 216頁 本体価格1,700円+税
鷲田清一(2006) 〈978-4-314-01007-8〉
「じぶんが感じていることについてきめこまかに語りたいとだれもがおもう。けれども,言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ」(本書より)。捉えたとおもえば零れ落ち,言い当てたとおもえば逃れ去る,そんな身体の記憶を手繰り寄せ,人間の感覚の襞へと分け入り,感触の肌理を写し取る――文章家・鷲田清一の魅力を存分に堪能できる,珠玉のエッセイ集。

色のことば

B6判 224頁 本体価格1,456円+税
銀座和光編(1994) 〈978-4-314-00686-6〉
薔薇色,青磁色,マリンブルー,雲色――さまざまなジャンルで活躍する48人が,一つの色を選んで書いたエッセイをまとめたアンソロジー。女優が舞台で切り裂く絹の紅色,作家が出会った桜色の思い出,演出家が舞台に咲かせる緋色の花々――が語りかけてくるものは? それぞれの「人」と「色」がくりひろげる,魅惑の世界。