出版社内容情報
★谷川 渥さん(国学院大学教授)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 「薔薇十字」に関する基本文書のすべてを収めた驚くべき書物である。刊行時期は一六一四年から一六年までの三年間。著者二十歳代の折だが、執筆は十代の時らしい。
クリスティアン・ローゼンクロイツなる人物に仮託してつくりあげられたバロック的な思弁の書。とはいえ、ルターの家紋も薔薇と十字であり、パラケルススの家紋にも薔薇が用いられているように、少なくともルター主義と錬金術の伝統が関与していたと見なければならない。「薔薇十字」とは、つまるところ宗教改革を背景とした特殊な思想運動であったことを本書は明らかにしてくれよう。
王と王妃の結婚式への招待状が処女天使によって手わたされるところから始まる七日七夜の異様な物語「化学の結婚」は、錬金術の諸作業と重ね合わせられたらしい徹底したアレゴリー文学である。謎めいた物語の進行に半ばあきれながらも、これをこなれた日本語に移しえた訳者の力量にあらためてつくづく感心させられる。」
内容説明
ヨーロッパ精神史に深い刻印を残した文学的・思想的事件…薔薇十字四大文書を原典から完全翻訳。
目次
化学の結婚
薔薇十字の名声
薔薇十字の信条告白
全世界の普遍的かつ総体的改革
著者等紹介
種村季弘[タネムラスエヒロ]
1933年東京生。エッセイスト・評論家。ドイツ文学者。パラケルスス、マゾッホ、カリオストロなどの評伝、錬金術、ぺてん師、怪物などをめぐるエッセイを多数発表
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