紀伊國屋書店 出版部 図書目録

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歴 史

2019年1月現在

文明のなかの博物学 西欧と日本

A5判
 上 348頁 (品切) (1999)〈978-4-314-00850-1〉
 下 384頁 本体価格3,200円+税 (1999)〈978-4-314-00851-8〉
西村三郎
ユーラシア大陸の東端と西端,日本と西欧でともに近世に絢爛と花ひらいた博物学-博物趣味の大流行の謎を,地球的・世界史的スケールで比較文明論的に考察した画期作!!
東西の博物学の本格的な通史でありながら,読みごたえのある物語性で,両者の内実の違いを実証,江戸博物学終焉の謎に迫る。各紙誌・書評誌,絶賛の書。

毛皮と人間の歴史

A5判 396頁 本体価格2,800円+税
西村三郎(2003) 〈978-4-314-00930-0〉
毛皮が人類の歴史そのものを動かしたと言っても過言ではない時代もあった......ベーリング陸橋を渡った大昔の人類,ロシア人のシベリア進出,英仏の北アメリカ北部・西部への開拓にも,毛皮が大きな影を落としていた。大佛次郎賞作家が,毛皮をめぐる人間の長い歴史,幾多の王朝と国家の興亡,数々の人間ドラマを,地球的・世界史的な視野で活写した渾身の遺作!!

龍の起源

46判 298頁 本体価格2,427円+税
荒川紘(1996) 〈978-4-314-00726-9〉
雨を降らせ農民を助ける,心やさしい日本の龍。皇帝のシンボルとなった中国の龍。邪悪の象徴,西洋のドラゴン――。なぜ人類は,かくもさまざまな龍をうみだし,神話や伝承の中で語りつたえてきたのか? 世界各地の神話・伝承から,旧石器時代の土器の文様まで,豊富な資料と多数の図版を用いて,龍をうんだ人類の想像力に迫る! スリリングな文明史の冒険行。

東と西の宇宙観 西洋篇

A5判 328頁 本体価格2,800円+税
荒川紘(2005) 〈978-4-314-00995-9〉
シュメール・バビロニアの神話的世界観からユダヤ教,ギリシア・ローマ,スコラ哲学の世界観・宇宙観へ。ルネサンス以前の五千年に及ぶ世界観・宇宙観の変遷の歴史が,現代に問いかけるものとは? 「外から宇宙をみる西洋,内から宇宙をみる東洋」と言われるが,東西の宇宙観の変遷の歴史を比較文明論的に詳細に辿ることで,その違いを浮き彫りにする挑戦!

タロット大全 歴史から図像まで

A5判 628頁 本体価格4,500円+税
伊泉龍一(2004) 〈978-4-314-00964-5〉
何百年もの間,時の流れとともに変わり続けてきたタロット。多種多様な絵柄の中には,その時代の空気や人々の世界観が封じ込められている―――タロットの今の姿から始まり,占いと精神世界との関わりの中で育まれたその歴史,各カードの図像解釈まで,豊富な切り口からタロットの世界の全貌を披露する。図版も豊富に掲載され,まさに辞書的な一冊。

占星術 その科学史上の位置

46判 204頁 本体価格1,800円+税
中山茂(2005) 〈978-4-314-00985-0〉
科学的にはナンセンスとみなされている占星術が,なぜこうも人を惹きつけるのか。バビロニアに興り,古代から近世まで文明を支配し,天文・物理・気象等の科学の母体となった占星術の発生と衰退を科学史的に評価する。西洋の占星術のみならず,中国や日本の占星術も同格に扱い,また中世や近世への展開をも充分考慮して,占星術の全体像を捉えた科学思想史入門。

幕末の社会史 徳川幕藩制と庶民

46判 218頁 本体価格1,748円+税
〈精選復刻 紀伊國屋新書〉
工藤恭吉(1994) 〈978-4-314-00661-3〉
徳川封建体制の矛盾が深刻化してきた江戸中期頃から幕藩体制が崩壊するまでの過程を,領主と自立的小農民という対立する二つの階級関係の歴史としてとらえる。さらに,農民層の分解,農村工業の発達,商人の活動,百姓一揆や都市の打ちこわし等をとおして経済史の立場から,近代資本主義の萌芽をもさぐる。明治維新を理解する上でも貴重な書といえるだろう。

日露戦争スタディーズ

A5判 272頁 本体価格2,200円+税
小森陽一,成田龍一編著(2004) 〈978-4-314-00956-0〉
1904(明治37)年に勃発し,近代日本の進む道を決定づけた日露戦争。その時代と社会をいま,世紀をへだてて改めて問い直す――。メディアと報道,国際社会の中の日本,軍隊と地域,銃後と民衆運動,植民地,記憶と慰霊......第一線の書き手たちがこれまでこぼれ落ちてしまっていた論点に光をあて,現代に通じるアクチュアルな問題を浮き彫りにする野心的な論集。

戦後日本スタディーズ①40・50年代

A5判 376頁 本体価格2,400円+税
岩崎稔,上野千鶴子,北田暁大,小森陽一,成田龍一編著(2009) 〈978-4-314-01052-8〉
封印された記憶を言語化する――ようやく語られ始めた戦後史があった。〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第一巻。東京大空襲/憲法/GHQ/復員兵/東京裁判/講和/サークル詩/朝鮮戦争...。各巻に詳細年表付(道場親信編)。

戦後日本スタディーズ②60・70年代

A5判 384頁 本体価格2,400円+税
岩崎稔,上野千鶴子,北田暁大,小森陽一,成田龍一編著(2009) 〈978-4-314-01051-1〉
かつて〈革命〉を信じた時代があった―― 〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第二巻。安保/ベ平連/水俣/全共闘/リブ/連合赤軍/沖縄/少年マンガ...。噴出する〈社会運動〉の時代を検証する!

戦後日本スタディーズ③80・90年代

A5判 376頁 本体価格2,400円+税
岩崎稔,上野千鶴子,北田暁大,小森陽一,成田龍一編著(2008) 〈978-4-314-01053-5〉
1995年,日本はここから変わった?! 〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第三巻。ニューアカ/フェミニズム/おたく/ピースボート/ネオリベ/バブル/グローバル化/オウム/9・11/イラク戦争/格差...

私の戦後は終わらない 遺されたB級戦犯妻の記録

46判 280頁 本体価格1,800円+税
小林弘忠(2005) 〈978-4-314-00987-4〉
太平洋戦争のB級戦犯に指定された傷痍軍人,本田始。彼は,捕虜監視員時代に捕虜を虐待した罪で起訴され,たった一日の裁判で死刑判決を受けてしまう。そこから,彼の妻・タネの,見つからない真実を追い続ける戦後が始まる。「彼は本当に捕虜を殺したのだろうか?」――今もなお戦後の傷跡を背負って生きる女性の生涯を描くノンフィクション。

あったかもしれない日本 幻の都市建築史

A5判変型 256頁 本体価格2,200円+税
橋爪紳也(2005) 〈978-4-314-00998-0〉
建築や都市デザイン,国家イベントの分野において,実施された計画ではなく,中途で頓挫した開発,コンペの落選案,誇大妄想的なビジョンなど,歴史から忘れ去られているプロジェクトを再発見し,「あったかもしれない国のかたち」を追いかける,もう一つの都市建築史の試み。斬新な近現代史記述であると同時に,異色な視点からの日本社会論でもある。

日本人の葬儀

46判 372頁 本体価格3,500円+税
新谷尚紀(1992) 〈978-4-314-00579-1〉
なぜ線香やロウソクの火をともすのか,お墓の石塔や石積みのもつ意味とは? 「葬式」めぐる大きな変化と混乱のなかにある現在だからこそ,歴史に伝えられてきた年久しい慣習を知っておくべきではないか――。日本各地に古来より伝わる葬送儀礼・墓制の変遷と,その意味するところを詳述。そこから浮かび上がる,日本人の死生観,他界観,民族的心性とは。

日本の子守唄 民俗学的アプローチ

46判 228頁 本体価格2,400円+税
松永伍一(1978) 〈978-4-314-01120-4〉
子守唄のあの哀調はなぜか――各地に残された記録を辿った著者は,民俗学的なアプローチで,唄い継いだ名もなき女性たちの心情を探る。眠らぬ子に手を焼いて唄われたさまざまな子守唄の分析によって,その背景にあった庶民生活,風習,出稼ぎ,間引き,人身売買,故郷への慕情,社会諷刺,エロスなど,底辺に生きた人々の愛と悲しみが照らし出される。

明治馬券始末

46判 256頁 本体価格1,800円+税
大江志乃夫(2005) 〈978-4-314-00976-8〉
日露戦後,軍馬改良の一環として競馬が奨励され,馬券も黙許された。だが,その利益を当て込んで競馬会が乱立,紛争・不正も続発して,明治41年,馬券競馬は廃止されるに至る。この騒動の片隅で,一見些細だが,やがて来る検察権力の暴走を予兆する事件が起きていた......。近代史研究の大御所が陸軍秘密文書を駆使しながら描く,歴史の裏側に隠されたドラマ。

台湾人の歌舞伎町 新宿、もうひとつの戦後史

46判 252頁 本体価格1,800円+税
稲葉佳子,青池憲司(2017) 〈978-4-314-01151-8〉
〈らんぶる〉も〈スカラ座〉も台湾人がつくった――終戦までの50年間,日本統治下にあった台湾。8万人近くが"日本兵"として戦地に送られ,戦前から日本に"内地留学"していた者も多くいた。戦後,今度は一転,"外国人"として裸一貫放り出された台湾人は駅前のヤミ市で財をなし,焼け野原に新たに構想された興行街・歌舞伎町を目指した。初めて明らかにされる,貴重な時代証言。

新宿学

A5判 272頁 本体価格2,200円+税
戸沼幸市編著 青柳幸人,高橋和雄,松本泰生(2013) 〈978-4-314-01099-3〉
この「まち」の力はどこから来たのか――赤線・闇市・新宿コマ劇場・ゴールデン街・伊勢丹・超高層ビル街・コリアンタウン...内藤新宿以来の歴史をふりかえり,乗降客一日350万人の世界最大のターミナル駅と有数の繁華街を持つまちになるまでどのように発展してきたのかを描き,新宿の近未来像を提案する。カラー口絵・図版90点・年表・まち歩きガイド付。

神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡

46判 640頁 本体価格3,200円+税
ジュリアン・ジェインズ 柴田裕之訳(2005) 〈978-4-314-00978-2〉
人類が意識を持ったのは,今からわずか3000年前のことだった。古代文明は,右脳に囁かれる神々の声に従った<二分心>の者たちが担ったのだ―――人類が意識を持つ前の人間像を初めて示し,豊富な文献や遺物を駆使して「意識の誕生」をめぐる壮大で大胆な仮説を提示する......哲学・心理学,歴史解釈をはじめ多方面で論議を呼んだ画期作,堂々の刊行。

謎の古代文明 〈新装復刊版〉

46判 292頁 本体価格2,200円+税
チャールズ・ベルリッツ 小江慶雄,小林茂訳(1997) 〈978-4-314-00797-9〉
数千年前の古地図に南極大陸が精確に書かれていた秘密。シベリアの冷凍マンモスの口中に残る南方植物の謎。ベーリング海峡を渡った人々の残した痕跡。洪水伝説と地球大激変をめぐる古代人の記述等。31か国語を解する水中探検家が,古今東西の文献を渉猟し,自ら水底都市の遺跡に潜って,古代文明のミステリーに迫る。

アフリカの創世神話 〈新装版〉

46判 222頁 本体価格2,600円+税
阿部年晴(1981) 〈978-4-314-01108-2〉
アフリカ諸部族に言い伝えられた,豊穣で魅力的な創世神話の世界――智慧と生命力,善と悪,祭儀と芸術,神と精霊,混沌と秩序,性と創造,時間と永遠――この宇宙や人間社会はいかにはじまったのか。欧米圏の概念では明確に把握できない,その独自の意味と構造を解釈するとともに,神話とは何かを問い直した若き日の文化人類学者による論考。

千年王国の追求 〈新装版〉

A5判 480頁 本体価格4,800円+税
ノーマン・コーン 江河徹訳(2008) 〈978-4-314-01049-8〉
11~16世紀のヨーロッパを舞台に,ユダヤ教や初期キリスト教,異端的神秘主義者たちから受けつがれた「千年王国幻想」が,現世での楽園を求める民衆のエネルギーや想像力と結びついていったさまをドラマティックに再現する。中世史の埋もれた部分に光をあてた社会史的研究であるとともに,文学・人類学・宗教学・社会学などに多くの問題を投げかけた名著。

塗りつぶされた町 ヴィクトリア期英国のスラムに生きる

46判 464頁 本体価格2,700円+税
サラ・ワイズ 栗原泉訳(2018) 〈978-4-314-01161-7〉
19世紀末,所得階層別に色分けされたロンドンの地図で最下層が多く住むスラムとしてひときわ黒々と塗りつぶされたのがイースト・エンドのニコル地区だった――繁栄のきわみにあった大英帝国の首都に巣食うこの不条理と,「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる福祉制度が萌芽するまでの時代を圧倒的な筆力で描いた,王立文学協会オンダーチェ賞ノミネート作。

アウシュヴィッツの歯科医

46判 408頁 本体価格1,900円+税
ベンジャミン・ジェイコブス 上田祥士監訳 向井和美訳(2018) 〈978-4-314-01154-9〉
命を救ってくれたのは,別れぎわに母が私に持たせた歯科治療用の小さな道具箱だった――飢餓とシラミの蔓延する収容所生活,裏切りと拷問,非ユダヤ人女性との恋,SS隊員を治療し,死体から金歯を抜く......ナチス・ドイツの強制収容所で歯科医を務め,機転と知恵を働かせながら奇跡的に生きのびたユダヤ人青年が自ら綴ったスリリングなノンフィクション。

ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白

46判 272頁 本体価格1,900円+税
ブルンヒルデ・ポムゼル,トーレ・D. ハンゼン 石田勇治監修 森内薫,赤坂桃子訳(2018) 〈978-4-314-01160-0〉
「なにも知らなかった。私に罪はない」ヒトラーの右腕としてナチ体制を牽引したヨーゼフ・ゲッベルスの103歳の元秘書が,69年の時を経て当時を回想する。その発言はハンナ・アーレントのいう"悪の凡庸さ"を想起させ,ナショナリズムとポピュリズムが再び台頭する現代社会へ警鐘を鳴らしている。20か国以上で刊行決定。映画「ゲッベルスと私」の書籍版。

シベリアの歴史 〈新装版〉

46判 208頁 本体価格2,600円+税
加藤九祚(2018) 〈978-4-314-01158-7〉
1945年8月,旧関東軍の一員として満州で終戦をむかえ,以後5年にわたり東部シベリアの収容所を転々として抑留生活を送った著者が帰国後,彼の地で習いおぼえたロシア語の文献をひもとき,その歴史を日本で初めて概観した一冊。2016年,ウズベキスタンで発掘調査中に94歳で死去するまで生涯現役を貫いたシルクロード研究の世界的権威の出発点。

コダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所

A5判変型 152頁 本体価格2,900円+税
エリック・L.ミューラー編著 ビル・マンボ写真 岡村ひとみ訳(2014) 〈978-4-314-01119-8〉
1942年,日系二世のビル・マンボは,カリフォルニア州の自宅からワイオミング州の強制収容所に連行された。その彼が,有刺鉄線の中で暮らす家族の日常や盆踊り・相撲のような日系人収容所ならではの風物詩を撮影。当時では珍しい鮮やかなカラー写真と研究者による考察,元収容者のエッセイから,収容生活の実際が浮かび上がる。

原爆を盗め! 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた

46判 352頁 本体価格1,900円+税
スティーヴ・シャンキン 梶山あゆみ訳(2015) 〈978-4-314-01127-3〉
第二次大戦下,原爆開発競争のゴングが鳴った。米英の「マンハッタン計画」に天才科学者が集結し,その情報を盗もうとソ連のスパイが暗躍する。一方で,ヒトラーも原爆製造を進めていた。現在世界に1万6千発以上,私たちの時代を決定的に変えてしまった核兵器開発をスリリングな筆致で綴った,歴史ノンフィクション。各紙絶賛,サイバート賞ほか受賞多数。

原子力 その神話と現実 〈増補新装版〉

46判 272頁 本体価格2,000円+税
リチャード・カーチス,エリザベス・ホーガン 高木仁三郎,近藤和子,阿木幸男訳(2011) 〈978-4-314-01084-9〉
いま日本は「原子力をどうするか」について切実な議論を必要としているが,実は1980年にアメリカで環境問題を専門とするライターらが,当時のアメリカの原子力開発の事故と隠蔽の実態を告発していた。その内容は,驚くほど今日の日本の状況に酷似しており,私たちは改めて30年前に書かれた本書から「神話と現実」の多くを学ばなければならない。

殺す理由 なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか

46判 352頁 本体価格2,500円+税
リチャード・E.ルーベンスタイン 小沢千重子訳(2013) 〈978-4-314-01106-8〉
1830年代にトクヴィルが見たアメリカ人像は総じて対外戦争を忌避する平和愛好者だった。しかし,以後かの国では戦争が常態化している。愛国心・共同体意識・自衛の概念・開戦事由のレトリック――その歴史から集団暴力が道徳的に正当化されてきた要因を探る。イラク戦争から10年が過ぎたいま,米国の対外戦争を是認してきた日本であらためて読まれるべき1冊。

イスラームから見た「世界史」

46判 688頁 本体価格3,400円+税
タミム・アンサーリー 小沢千重子訳(2011) 〈978-4-314-01086-3〉
9・11――その時はじめて世界は〈ミドルワールド〉に目を向けた。十字軍遠征,植民地時代,そして,9・11――西洋版の世界史の後景に追いやられてきたイスラーム世界ではいかなる物語が進行していたのか。さらにはムスリムは自らの歴史をどう捉え,いかに語り伝えてきたのか。混迷を続けるイスラーム世界の成りたちが見えてくる,もう一つの世界史。

平和を破滅させた和平 中東問題の始まり 1914-1922

46判
 上 464頁 本体価格3,800円+税 (2004)〈978-4-314-00966-9〉
 下 544頁 本体価格3,800円+税 (2004)〈978-4-314-00967-6〉
デイヴィッド・フロムキン 平野勇夫,椋田直子,畑長年訳
中東ではなぜ血なまぐさい抗争が絶えないのか。それを理解するためには第一次世界大戦までさかのぼらねばならないと著者は言う。オスマントルコ帝国の崩壊を見すえ,ヨーロッパ列強はいかなる青写真を描いていたのか。さまざまな思惑が交錯する生々しい人間模様を活写し,近代中東形成の全体像をあぶり出す,大河小説さながらの一大歴史ノンフィクション。

1493 世界を変えた大陸間の「交換」

46判 816頁 本体価格3,600円+税
チャールズ・C.マン 布施由紀子訳(2016) 〈978-4-314-01135-8〉
コロンブスのアメリカ大陸到達以降,動植物や病原菌,鉱物,そして奴隷が世界を行き交いはじめ,今日に連なるグローバル化が進んだ。これらの「交換」は,いかに世界を変えたか? 考古学や地理学,生物学などの最新の学術的成果や自身による取材を元に,今まであまり知られていなかった史実に光を当て,激動する15世紀以降の世界を描いた全米ベストセラー。

気象を操作したいと願った人間の歴史

46判 524頁 本体価格3,200円+税
ジェイムズ・ロジャー・フレミング 鬼澤忍訳(2012) 〈978-4-314-01092-4〉
雨乞いの儀式にはじまり,ペテン師たちの暗躍,さまざまな思惑が錯綜する軍事・商用目的の人工降雨,エアコンの発明,天気予報,気象衛星まで――ままならぬ自然の支配を切望した人間の歴史をたどるとともに,地球温暖化を解決しようとSFばりのアイディアが検討される,現代の「地球工学」の政治的・倫理的問題点を衝く。

書物の破壊の世界史 シュメールの粘土板からデジタル時代まで(仮)

46判 736頁予定 予価¥3,500円+税
フェルナンド・バエス 八重樫克彦,八重樫由貴子訳(2019) 〈978-4-314-01166-2〉
シュメールの昔から,ナチスによる"ビブリオコースト",イラク戦争下の略奪行為,電子テロまで。戦争や迫害,検閲にとどまらず,数多の天災・人災,書写材の劣化,害虫による被害,人間の無関心により,どの時代にも例外なく書物は破壊され,人類は継承されるべき叡智を失ってきた。膨大な文献と実地調査により記された,エーコ,チョムスキー絶賛の一冊。