紀伊國屋書店 出版部 図書目録

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文化人類学

2019年1月現在

千年王国と未開社会 メラネシアのカーゴ・カルト運動

46判 424頁 本体価格4,600円+税
〈文化人類学叢書〉
ピーター・ワースレイ 吉田正紀訳(1981) 〈978-4-314-00345-2〉
近代ヨーロッパ文化との接触は未開社会に何をもたらしたか。本書は,南太平洋メラネシア全域で展開された大規模な宗教運動であるカーゴ・カルト(積荷崇拝)運動と,それによる社会変化を幅広く考察する。異文化と直面した時,メラネシア人が変容する自分達の世界をどのように合理的に捉えようとしたかを明らかにし,未開社会と文明の問題を考える。

聖書の構造分析

46判 272頁 本体価格2,700円+税
〈文化人類学叢書〉
エドマンド・リーチ 鈴木聡訳(1984) 〈978-4-314-00435-0〉
イギリスを代表する社会人類学者である著者が,『神話としての創世記』の中でとりあげた問題の延長線上に本書は位置している。聖書神話の分析に人類学的手法を適用し,独創的かつ刺激的な洞察にとんだ五篇の論文から成る。また,付録という形で,構造主義的分析方法とは何かを簡潔に述べたエイコック氏の二論文も併せて収めている。

ゴースト・ダンス アメリカ・インディアンの宗教運動と叛乱

46判 306頁 本体価格6,100円+税
〈文化人類学叢書〉
ジェイムズ・ムーニー 荒井芳廣訳(1989) 〈978-4-314-70138-9〉
「ゴースト・ダンス」とは,19世紀末,アメリカ・インディアンの諸部族のあいだに広まった千年王国的な宗教運動のこと。本書は,運動の展開や儀礼の詳細を直接の観察にもとづいて描き出した実地調査報告である。インディアンへの迫害とそれに対する叛乱にも詳しく触れており,アメリカがいかに成立したかを知る貴重な資料。

創られた伝統

46判 496頁 本体価格4,757円+税
〈文化人類学叢書〉
E.J.ホブズボウム,T.レンジャー編 前川啓治,梶原景昭他訳(1992) 〈978-4-314-00572-2〉
古くから受け継がれてきたと思われている「伝統」の多くは,実は近代になってから人工的に創られたものだった――英国王室の華やかな儀礼式典,スコットランドのタータン文様やバグパイプ,さらにウェールズからインド,アフリカ,ヨーロッパ全般にも目を配り,「伝統」の創出がナショナリズムのイデオロギー構築に果たした重要な役割を明るみに出す重厚な歴史書。

森を食べる人々 ベトナム中央高地の先住民族誌

46判 672頁 本体価格6,602円+税
〈文化人類学叢書〉
ジョルジュ・コンドミナス 橋本和也,青木寿江訳(1993) 〈978-4-314-00599-9〉
現在,民族としての絶滅を余儀なくされた,ベトナム高地ムノング・カル族の村に,1年間暮らした著者による精密な記録。「資料の驚くべき豊富さと,民族学的文学とでもいうべき新しい文学ジャンルの開拓において,きわだった成果をあげている」と,レヴィ=ストロースも称賛。村で行われるさまざまな祭や儀式の細部まで描いた,貴重な民族誌。

人というカテゴリー

46判 552頁 本体価格5,631円+税
〈文化人類学叢書〉
M.カリザス,S.コリンズ,S.ルークス編 厚東洋輔,中島道男,中村牧子訳(1995) 〈978-4-314-00707-8〉
「人」や「自分」という概念は自明なように見えて,実は時代や文化によってさまざまに変容している。このことを指摘し,それは哲学や心理学の問題である以上に社会的・イデオロギー的な問題だと述べたのが,マルセル・モースだった。本書は,このモース論文をめぐって開催されたシンポジウムの記録であり,実に多様な分野の研究者たちがその展開を試みている。

精霊と結婚した男 モロッコ人トゥハーミの肖像

46判 340頁 本体価格3,600円+税
〈文化人類学叢書〉
ヴィンセント・クラパンザーノ 大塚和夫,渡部重行訳(1991) 〈978-4-314-00562-3〉
これは,一人のモロッコ人の物語である。かわら職人のトゥハーミは女の精霊と「結婚」しており,性愛生活を完全に支配されている。著者はトゥハーミへの度重なるインタビューを通して,その幻想的な心理世界に分け入ってゆく――オリエント的なエロティシズム,イスラム世界の精霊信仰,そして従来の民族誌の約束事を逸脱する実験性がみなぎる奇書。