出版社内容情報
5000年の世界観・宇宙観の変遷に見る、東西の思考様式の違いとは――
シュメール・バビロニアの神話的世界観からユダヤ教、ギリシア・ローマ、スコラ哲学、ルネサンス、近代・現代の宇宙観の変遷の歴史が、現代に問いかけるものとは? 「外から宇宙をみる西洋、内から宇宙をみる東洋」と言われるが、東西の宇宙観の変遷の歴史を比較精神史的に詳細に辿ることで、その違いを浮き彫りにする挑戦!
2005年掲載
静岡新聞11/6、読売新聞11/20、ブッククラブ回2005秋62号、ダヴィンチ1月号、図書新聞12/24、週刊読書人12/23、図書新聞12/24、週刊読書人12/23
第1章 神々の天地―メソポタミア神話の宇宙観
1 宇宙論もシュメールに始まる
最初の都市国家
シュメールの統一王朝
豊饒の女神ニンフルサダと水の男性エンキ
シュメールの宇宙 - エンリルによる天地の分離
人間の創造
人類の絶滅 - 洪水神話
シュメールの滅亡
2 バビロニアの天地創成神話 - 「エヌマ・エリシュ」
ハンムラビの帝国とマルドゥク
「エヌマ・エリシュ」の宇宙創成論(1)
「エヌマ・エリシュ」の宇宙創成論(2)
マルドゥクは宇宙の創成の役もエンリルから受け継ぐ
龍の神ティアマト
「天地の神々の王」マルドゥク
人間の創造と滅亡
「エヌマ・エリシュ」の宇宙構造論
ジックラト - 宇宙国家バビロニアの象徴
バビロニアの占星術と暦法
バビロニアの終焉
3 メソポタミアとエジプト
エジプトの環境
エジプトの宇宙創成論
エジプトの宇宙構造論
第2章 唯一神による万物の創造―ユダヤ教の宇宙観
1 唯一神の誕生
カナンの定住とヤハウェ信仰
バビロン捕囚
創造主としてのヤハウェ
2 「創世記」の宇宙論
光と天地の創造
動植物と天体と人間の創造
もうひとつの人間創造の物語
エデンの園
ノアの洪水
旧約聖書の宇宙構造
旧約聖書の終末論
マカバイ朝の興亡とユダヤ人
第3章 美と幾何学の発見―ギリシア哲学の宇宙論
1 ギリシア神話の宇宙観
ヘシオドスの「神統記」が語る宇宙創成論
ギリシア神話の宇宙構造
人間の誕生と滅亡
2 最初の科学者アナクシマンドロスの宇宙論
ミレトス - 民主政治のポリス
神のいない宇宙論 - タレス
アナクシマンドロスの宇宙生成論
生物と人間の起源
アナクシマンドロスの宇宙構造論 - 宙に浮かぶ大地
対称性の原理
アナクシメネスとヘラクレイトス
原子論の宇宙
3 ピュタゴラスとピュタグラス学派の宇宙論
サモスのピュタゴラス
地球説の成立
中心火の地動説
4 プラトンの宇宙論
アテナイの民主制とその衰退
アテナイの哲学者 - アナクサゴラスとソクラテス
プラトンとアカデメイア
プラトンの国家論
プラトンの宇宙構造論
同心天球説
宇宙創成論
ギリシア人と宇宙
人間創造論
イデア
宇宙と人間の霊魂
宇宙の終末
5 アリストテレスの宇宙論
宇宙は永遠
同心球の天を動かすのは第一動者
四元素とその自然な運動
地球が宇宙の中心にある理由
ヘラクレイデスの地球=太陽中心説
生物学と霊魂
原子論は認めない
第4章 科学の中心から心の宇宙へ―ヘレニズム・ローマの時代
1 ヘレニズム天文学
科学はアテナイからアレクサンドリアへ
観測の発達 - 太陽・月・地球の大きさ
地球中心説の新しい理論 - アポロニウスとヒッパルコス
プトレマイオスの「アルマゲスト」
科学的な世界地図
太陽中心説も唱えられる - アリスタルコス
ピロポノスのアリストテレス批判
小宇宙の科学 - ガレノスの医学
2 ローマの人生論的宇宙論
科学はアテナイからアレクサンドリアへ
観測の発達 - 太陽・月・地球の大きさ
地球中心説の新しい理論 - アポロニウスとヒッパルコス
プトレマイオスの「アルマゲスト」
科学的な世界地図
太陽中心説も唱えられる - アリスタルコス
ピロポノスのアリストテレス批判
小宇宙の科学 - ガレノスの医学
第5章 無からの創造―キリスト教の宇宙観
1 初期キリスト教の宇宙観
新薬聖書の天地
創造よりも終末 - 福音書
「ヨハネの黙示録」
2 キリスト教の勝利
ユダヤ・キリスト教の神とイデア
はじめにことばありき
異端・異端との戦い
神とキリスト - 三位一体説
3 アウグスティヌス
キリスト教への回心」
「無からの創造」 - 神の全能性
時間の創造
アウグスティヌスにおける占星術と科学
終末論の理解の仕方
第6章 ユダヤとギリシアの融合―スコラ哲学の宇宙観
1 イスラムの天文学と宇宙論
東ローマ帝国とネストリウス派のキリスト教
イスラム教の誕生とギリシア科学
「コーラン」のなかの宇宙論
「コーラン」の終末論
イスラムの天文学
イスラムの占星術
イスラムのアリストテレス研究
アラビアからヨーロッパへ
2 トマス・アクィナスの宇宙論
大学の誕生
ナポリ大学とパリ大学のトマス・アクィナス
トマス・アクィナスの宇宙創成論 - パリ大学での論争
宇宙構造論 - 神の栄光の証明
天使を動かす天使
ダンテの「神曲」
占星術の復活
3 スコラ学的宇宙論の展開
スコラ学の歴史的意義
「いきおい」の理論
地球は動いているのか
科学革命の前夜
イエズス会による世界布教
第7章 宇宙の主役は人間に―近代科学の成立
1 地動説の再発見
十五世紀のルネサンス
コペルニクスの「天球の回転について」 - ギリシアの地動説の再発見
コペルニクスにたいする反発
ティコ・ブラーエの折衷論
コペルニクスの古さ
2 円と球の呪縛からの開放 - 新しい宇宙の調和へ
ケプラー - 惑星は楕円運動をする
ガリレオ - それでも惑星は楕円運動をする
3 無限の宇宙へ
ジョルダノ・ブルーノの無限・無限宇宙
デカルトの無限の宇宙とニュートンの絶対的な時空間
4 原子論の復活と機械じかけの宇宙
近代の原子論
機械論の登場 - 宇宙も人間も機械時計
機械論と技術
近代医学の成立
5 力学の誕生 - しかし神は死なない
「自然という書物」
デカルトの運動の法則と神
ニュートンの力学の法則と神
スピノザの「神即自然」
6 啓蒙の時代の科学の追放
近代ヨーロッパの盛衰と啓蒙思想
ニュートン力学はフランスへ - ヴォルテール
ドイツの啓蒙思想 - ライプニッツ
カントの宇宙創成論
カントの空間時間論
7 神は不要
力学の新展開
太陽系の生成 - ビュフォンとラプラス
ディドロの無神論
生物の創造にも神は不要
十九世紀の科学 - 科学技術と資本主義
第8章 人間はどこへ―現代の宇宙論
1 アインシュタインの宇宙論
一般相対性理論から導かれた宇宙
科学と美
宇宙と神
ビッグバン - 宇宙論も繰り返される
2 宇宙への回帰
天の科学から地の科学へ
宇宙論者アインシュタインが教えること
内容説明
「外から宇宙を見る西洋、内から宇宙を見る東洋」といわれるが、実際はどうだったのか。東西の宇宙観の変遷を詳細に辿ることで、人間・世界・宇宙を認識する思考様式の違いと共通点、あるいは東西の交流の歴史を浮き彫りにする挑戦。西洋篇では、古代メソポタミアの神話的宇宙観からギリシア・ローマを経てスコラ哲学、ルネサンス、近代科学・現代宇宙論へとつながる西洋の宇宙観の流れを、人間精神の営みとして考察する。『東と西の宇宙観 東洋篇』の姉妹編。
目次
第1章 神々の天地―メソポタミア神話の宇宙観
第2章 唯一神による万物の創造―ユダヤ教の宇宙観
第3章 美と幾何学の発見―ギリシア哲学の宇宙論
第4章 科学の中心から心の宇宙へ―ヘレニズム・ローマの時代
第5章 無からの創造―キリスト教の宇宙観
第6章 ユダヤとギリシアの融合―スコラ哲学の宇宙観
第7章 宇宙の主役は人間に―近代科学の成立
第8章 人間はどこへ―現代の宇宙論
著者等紹介
荒川紘[アラカワヒロシ]
1940年福島県生まれ。東北大学理学部卒。静岡大学人文学部教授、科学思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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