出版社内容情報
人類が意識を持ったのは、今からわずか3000年前のことだった。古代文明は、右脳に囁かれる神々の声に従った<二分心>の者たちが担ったのだ――
人類が意識を持つ前の人間像を初めて示し、豊富な文献や遺物を駆使して「意識の誕生」をめぐる壮大で大胆な仮説を提示する……哲学・心理学、歴史解釈をはじめ多方面で論議を呼んだ画期作、堂々の刊行。
毎日新聞書評掲載4/17、養老孟司氏絶賛!
★養老孟司さん「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 これは面白い本である。人がいつから言葉を持ったか、よくわからない。しかし、言葉を持ってから、いまのいままで、人が「同じ」であったはずがない。それなら、はじめのうちはどうだったのだろうか。
著者は昔の人は「神の声を聞いていたのではないか」という。歴史や考古学の例を引きながら、それをきわめて説得的に語る。だからこそ古い文献は「神の声が聞こえなくなった」という嘆きに満ちているのである。
著者の言い分が正しいかどうか、そんなことはじつはあまり問題でない。こうしたアプローチが大切なのである。現代人はいまの自分こそが「正しい」自分だと思っている。その常識に合わない人を、病院に入れたり、収容所に入れたり、戦争で殺したりする。迷惑だからと思っているのだが、どこまで本当に迷惑か、ていねいに見たことも、考えたこともない。そういう人たちのためにこの本がある。そう思ったほうがいいのである。」
2005年掲載
毎日新聞4/17、日経新聞5/8、Book Club KAI6月号、毎日ライフ7月号、聖教新聞6/22、読売新聞7/24
本書に寄せられた書評から
「本書とその著者の発想は、二十世紀後半において、最も激しい物議を醸しだすとは言わぬまでも、
最も影響力が大きいものかもしれない。
この作品のせいで、書架にして丸々いくつ分の書物が時代遅れになることか」
ウィリアム・ハリントン「コロンバス・ディスパッチ」紙
序章 意識の問題
第一部 人間の心
第1章 意識についての意識
第2章 意識
第3章 『イーリアス』の心
第4章 <二分心>
第5章 二つの部分から成る脳
第6章 文明の起源
第二部 歴史の証言
第1章 神、墓、偶像
第2章 文字を持つ「二分心」の神政政治
第3章 意識のもと
第4章 メソポタミアにおける心の変化
第5章 ギリシアの知的意識
第6章 ハビルの道徳意識
第三部 <二分心>の名残り
第1章 失われた権威を求めて
第2章 預言者と憑依
第3章 詩と音楽
第4章 催眠
第5章 統合失調症
第6章 科学という占い
内容説明
3000年前まで人類は「意識」を持っていなかった!古代文明は、意識を持つ前の「二分心」の持ち主の創造物。豊富な文献と古代遺跡の分析から、意識の誕生をめぐる壮大な仮説を提唱。
目次
第1部 人間の心(意識についての意識;意識;『イーリアス』の心 ほか)
第2部 歴史の証言(神、墓、偶像;文字を持つ「二分心」の神政政治;意識のもと ほか)
第3部 「二分心」の名残り(失われた権威を求めて;預言者と憑依;詩と音楽 ほか)
著者等紹介
ジェインズ,ジュリアン[ジェインズ,ジュリアン][Jaynes,Julian]
プリンストン大学心理学教授。1920年生まれ。ハーヴァード大学を経てマクギル大学で学士、イェール大学の心理学で修士・博士号取得。1966年から1990年までプリンストン大学心理学で教鞭をとる。研究者としては、初期は鳥の刷り込みやネコ科の婚姻行動などのエソロジーに集中していたが、やがて人間の意識にかかわる研究へとシフト。最初は原生動物から爬虫類、ネコ科に及ぶ動物の意識の進化と学習、脳機能の伝統的な比較心理生物学的アプローチをとっていたが、満足のいく結果が得られず、広く文献学や考古学の研究へと方向転換。1976年に『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』を刊行。米国内外の多数の大学で哲学や英語学、考古学といった学部で客員講師を歴任。国際的に著名な科学雑誌「Bahavioral and Brain Sciences」の共同編集者、「Journal of Mind and Behavior」誌の編集委員も務めた。1997年11月21日脳溢血で歿
柴田裕之[シバタヤスシ]
1959年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科・アーラム大学(米国)心理学科卒業
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感想・レビュー
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