神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡

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神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡

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  • サイズ 46判/ページ数 628p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314009782
  • NDC分類 141.2
  • Cコード C1090

出版社内容情報

人類が意識を持ったのは、今からわずか3000年前のことだった。古代文明は、右脳に囁かれる神々の声に従った<二分心>の者たちが担ったのだ――
人類が意識を持つ前の人間像を初めて示し、豊富な文献や遺物を駆使して「意識の誕生」をめぐる壮大で大胆な仮説を提示する……哲学・心理学、歴史解釈をはじめ多方面で論議を呼んだ画期作、堂々の刊行。

毎日新聞書評掲載4/17、養老孟司氏絶賛!

★養老孟司さん「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 これは面白い本である。人がいつから言葉を持ったか、よくわからない。しかし、言葉を持ってから、いまのいままで、人が「同じ」であったはずがない。それなら、はじめのうちはどうだったのだろうか。
 著者は昔の人は「神の声を聞いていたのではないか」という。歴史や考古学の例を引きながら、それをきわめて説得的に語る。だからこそ古い文献は「神の声が聞こえなくなった」という嘆きに満ちているのである。
 著者の言い分が正しいかどうか、そんなことはじつはあまり問題でない。こうしたアプローチが大切なのである。現代人はいまの自分こそが「正しい」自分だと思っている。その常識に合わない人を、病院に入れたり、収容所に入れたり、戦争で殺したりする。迷惑だからと思っているのだが、どこまで本当に迷惑か、ていねいに見たことも、考えたこともない。そういう人たちのためにこの本がある。そう思ったほうがいいのである。」

2005年掲載
毎日新聞4/17、日経新聞5/8、Book Club KAI6月号、毎日ライフ7月号、聖教新聞6/22、読売新聞7/24

本書に寄せられた書評から
「本書とその著者の発想は、二十世紀後半において、最も激しい物議を醸しだすとは言わぬまでも、
最も影響力が大きいものかもしれない。
この作品のせいで、書架にして丸々いくつ分の書物が時代遅れになることか」 
              ウィリアム・ハリントン「コロンバス・ディスパッチ」紙

序章  意識の問題
第一部 人間の心
  第1章  意識についての意識
  第2章  意識
  第3章  『イーリアス』の心
  第4章  <二分心>
  第5章  二つの部分から成る脳
  第6章  文明の起源

第二部 歴史の証言
  第1章  神、墓、偶像
  第2章  文字を持つ「二分心」の神政政治
  第3章  意識のもと
  第4章  メソポタミアにおける心の変化
  第5章  ギリシアの知的意識
  第6章  ハビルの道徳意識

第三部 <二分心>の名残り
  第1章  失われた権威を求めて
  第2章  預言者と憑依
  第3章  詩と音楽
  第4章  催眠
  第5章  統合失調症
  第6章  科学という占い

内容説明

3000年前まで人類は「意識」を持っていなかった!古代文明は、意識を持つ前の「二分心」の持ち主の創造物。豊富な文献と古代遺跡の分析から、意識の誕生をめぐる壮大な仮説を提唱。

目次

第1部 人間の心(意識についての意識;意識;『イーリアス』の心 ほか)
第2部 歴史の証言(神、墓、偶像;文字を持つ「二分心」の神政政治;意識のもと ほか)
第3部 「二分心」の名残り(失われた権威を求めて;預言者と憑依;詩と音楽 ほか)

著者等紹介

ジェインズ,ジュリアン[ジェインズ,ジュリアン][Jaynes,Julian]
プリンストン大学心理学教授。1920年生まれ。ハーヴァード大学を経てマクギル大学で学士、イェール大学の心理学で修士・博士号取得。1966年から1990年までプリンストン大学心理学で教鞭をとる。研究者としては、初期は鳥の刷り込みやネコ科の婚姻行動などのエソロジーに集中していたが、やがて人間の意識にかかわる研究へとシフト。最初は原生動物から爬虫類、ネコ科に及ぶ動物の意識の進化と学習、脳機能の伝統的な比較心理生物学的アプローチをとっていたが、満足のいく結果が得られず、広く文献学や考古学の研究へと方向転換。1976年に『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』を刊行。米国内外の多数の大学で哲学や英語学、考古学といった学部で客員講師を歴任。国際的に著名な科学雑誌「Bahavioral and Brain Sciences」の共同編集者、「Journal of Mind and Behavior」誌の編集委員も務めた。1997年11月21日脳溢血で歿

柴田裕之[シバタヤスシ]
1959年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科・アーラム大学(米国)心理学科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

168
面白いが納得はしなかった。古代エジプト・ギリシャ・メソポタミア時代の人間には意識が無かったという説。右脳から発せられる神の言葉(現代でいう幻聴)に従って自動人形のように生きていて、この状態を二分心というのだとか。時代が下るとやがて社会が複雑化し二分心は不利となり、右側言語野を使わない代わりに自己の意識を持つようになった。著者は豊富な事例をあげ、歴史上の記録や宗教観の違いなどを比較検討し、現代の心理学病理学をも横断的に解説。自説以外にはこれらをうまく説明できないと主張する。そうかなぁ。2023/05/17

やいっち

85
なかなか理解が及ばない。神々の…という題名のあやうさ。古代ギリシャどころか、バビロニアなどの素養も要る。さらに旧約聖書の世界を知悉していないと、話しについていけない。さらに脳科学の知識も必要となると、(著者の知見自体古い)専門的な話に素直についていくのも憚られる。それでも真に受けさえしなければ、大枠の議論については、読むに値する本だと感じた。2021/12/08

カザリ

49
私もそうだし、日本の宗教人口が3億人という(信者は二つ、三つ信仰をかけもちしている)ことからも、そしてこの著者の言う通り、神の存在を脳から追っ払ったせいで、なんとしてでも神の代わりなる絶対者を人類は欲しているのだなあと実感。神と人間の関係って、つかず離れず、一緒にいるとめんどうで、でも離れると超絶寂しいっていうまじで、ソウルメイツ的な最愛の悲恋の恋人みたいな感じなんだな、とふと思ったという。ああ、 人間ってさみしいなあ。2018/01/23

Fondsaule

30
★★★★★ 左右の脳をつなぐ脳梁を切ると、左右それぞれの脳に意識が宿り、意識が2つになるというのは、前に読んだことがある。ところがこの本の仮説は、数千年前まで人類は、現代人の持つ意識を持たず、<二分心>という精神構造になっていた。そして、脳の右半球は神々の声、そして左半球が人間の意識。文字と比喩の発達とともにその構造が変わり、現代人の持つ意識が誕生したというものだ。とても簡単には信じられないが、著者ジュリアン・ジェインズは、心理学、考古学、その他様々な学問から例を挙げ、その説を納得させてくれる。2021/01/05

Homo Rudolfensis

26
☆4.8 古代の人類は右脳からの幻聴に左脳が従う、〈二分心〉を持っており、この統合失調症患者に見られるような幻聴こそが神々の正体でした。それが紀元前1000年紀の末期頃にかけて崩壊していき、私たちのもつような意識が誕生した、というのが本書の主張で、中々面食らいましたが心理学者なためか脳機能からの説明には説得力がありますし、豊富な考古資料から、全体の3分の1の頁を使って歴史的な裏付けもしており、読み終わるとそうとしか思えなくなってしまうかもしれません。2021/12/18

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