出版社内容情報
ボーヴォワールの代表作として全世界の絶讃を浴びる自伝の第一部。パリの弁護士の長女シモーヌ。両親の期待は,娘を良家の淑女に仕立てることにあった。告白。聖体拝受。やがてこの感受性に富んだ少女に目覚めが訪れる。級友ザザと従兄ジァークへの愛のあと,ひとり思想の自立を求めて旅立とうとする彼女の前に現われたのが,サルトルとそのグループであった。
全世界の絶賛を浴びた自伝の第一部。生い立ちから、思想への目覚め、そしてサルトルとの出会いまで。ちなみに2005年はサルトル生誕100年。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
34
ボーヴォワールの自伝。幼少期から大学でサルトルに出会うまでが描かれています。深く心を動かされ、良い本を読む喜びを噛みしめました。この本は多面的で、いろいろな角度から楽しめます。まず、歴史の記録として面白いと思いました。第一次世界大戦が始まった時のパリ市民の様子を活写。大学で初めてシモーヌ・ヴェイユに会ったときのことも描かれています。私はヴェイユに傾倒しているので、この場面は感動しました。都市小説としても面白いです。様々な人たちが暮らすパリの息吹が鮮やかに伝わってきます。(コメント欄へ続きます)2024/10/28
meg
27
うつくしい文章。たゆまず歩みたいと、ボーヴォワールの背中をみた。2024/07/06
sabosashi
19
1.ボーヴォワールの初期の自伝。前半はやや退屈、動きが緩慢だが主人公たる少女はただならざる人格を抱く。その揺らめき、ためらい、逆上などは読み手をとらえる。フランスの社会というのは先鋭的な動きをしばしば見せるので開かれたものかと思いきや、昔も今もずいぶんと保守的であるらしい。イギリスほどではないかもしれないが階級、階層にとりわけこだわる。ブルジョアと労働者という二元論が根強いのか。そこではとりわけ女性が陰に陽に犠牲を強いられる。2024/12/16
春ドーナツ
17
感情を言語化するのに困難を覚える。因果を探していると方角を見失うし、矛盾がきつく結びついている。そもそも私が持っている言葉が少ない。方法論のひとつとして「理論武装」があるのではないかと本書を読んで感じた(哲学するも同義か?)。シモーヌ女史の心の巡礼を辿っていると「アンの青春」以降のアン・シャーリーをちょっぴり思い出す。感情を理屈にパラフレーズする為には、女史のように、たくさん本を読んで引き出しを増やさなくてはならないと思う。百頁を超えた段階で、ようやく彼女の「感情を考える」リズムに追いつくことができた。2018/06/03
きのこ
2
高校の図書室をフラフラしていて見つけた。ボーヴォワールの自伝はこのあと「女ざかり」「或る戦後」と続くが、自分が高校生だったので同じ世代のこれが一番心に残った。今読んだら違うかも。
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