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感覚の幽い風景

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  • サイズ B6判/ページ数 211p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314010078
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0010

出版社内容情報

「じぶんが感じていることについてきめこまかに語りたいとだれもがおもう。けれども、言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ」(本書より)。
捉えたとおもえば零れ落ち、言い当てたとおもえば逃れ去る、そんな身体の記憶を手繰り寄せ、人間の感覚の襞へと分け入り、感触の肌理を写し取る――文章家・鷲田清一の魅力を存分に堪能できる、珠玉のエッセイ集。

2006年掲載
朝日新聞夕刊7/19、週刊朝日7/28


★編集担当者より

《「わたし」はあなたにとっては「あなた」であり、「あなた」はあなたにとっては「わたし」だということ、そのことの了解のなかに「わたし」は生まれる。〈他者の他者〉としてのじぶんの了解、その上に「わたし」が編まれるのだとしたら、わたしが「わたし」として生まれたときには、唯一のものとしての「わたし」はすでに死んでいるということになる。》(本書より)

 じぶんは何者だと過剰なまでに自己の存在に問いをつきつけ、誰もじぶんをわかってはくれないと孤独の檻に閉じこもろうとした若かりしとき、「わたし」のなかにはすでに他者が埋め込まれていると、独特の熱を帯びた文体で語ってみせる鷲田さんの言葉に勇気づけられたことを、(私事ですが)思い出しました。
 その文章の力の源泉に、本書の編集過程をつうじて、再び触れることができたように感じています。
 誰もが(文字どおり)身に覚えがあり、あるいは親しんできたはずでありながら、言葉で語りだしたとたんにずれていき、もつれていく、あの感触、あの記憶を、それでもあえて言葉を紡ぎだすことで捉えていこうとする鷲田さん――

《じぶんが感じていること、たとえば感覚とか気分とか密かな想いについて、語るのはむずかしい。いつも浮ついているか、言葉足らずの感じがして、それはそれはもどかしい。どうして言葉がすぐに出てこないのだろう。……言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ。》(本書より)

 そんな鷲田さんの魅力、感覚の襞へと分け入るような文章を存分に堪能していただける一冊に本書は仕上がりました。読者のみなさんには、この世界にどっぷりと浸ってほしいと思います。
 また、本文の合間には、鷲田さんが「ひとめぼれ」したという、田村尚子さんの写真を散りばめました。あわせて、お愉しみいただければ幸いです。

内容説明

言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ。捉えたとおもえば零れ落ち逃れ去る、そんな感覚の深淵へ。身体論の名手、珠玉のエッセイ集。

目次

ほころび
疵きず
聲こえ
ふるえ
まさぐり
縁へり
まどろみ
ぬくみ
こもり
うつろい
ファッショナブルな器官

著者等紹介

鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年、京都府生まれ。哲学者。大阪大学教授。『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論』(阪急コミュニケーションズ、桑原武夫学芸賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kuri8655

26
視覚、聴覚、触覚といった感覚はそれ単独では在り得ず、感情、思考、記憶、身体の動き等と緊密に連関している。こころに残るのは、介護現場と子育てにおいて「口から食べること」に関する考察と、若者の「つながっていたい」感覚に関する考察。(他の文章と何か違うと思ったら初出がやはり違っていた)「自分の感覚は自分のもの」と思っていても、実は常に他者があってのこと、とあらためて思った。性的、生理的にぐちゃぐちゃした引用が続くと付いて行けない部分もあるが、あらためて先生はロックでパンクな人なのだなと思った。年上なのにすごい。2012/06/13

十六夜(いざよい)

11
言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ。捉えたとおもえば零れ落ち逃れ去る、そんな感覚の深淵へ。身体論の名手、珠玉のエッセイ集。いただきものだが、自分にはあまり合わず、読み終わるまでに時間を要した。女性の身体について書いてたり、おそらく年配の作者さんなんだろうなーと思っていたら、矢張り父と変わらぬ年代の方だった。2021/04/25

8
☆☆☆ 対象物を深く考察することにより辿り着ける場所がある。鷲田さんがわたしをそこまで連れて行ってくれるのだけれど、読み進めるうちにだんだん理解が追いつかなくなってしまった。何度も挫折を味わいながら、やっと読了。話の筋とは関係ないのだけれど、"命をつなぐための算段にすべての時間を費やすしかないのが動物である。"という一文を読み、生きることについてモヤモヤしていた気持ちが取っ払われたような気がする。2018/07/09

rasty

1
現場で迷い、混沌とし、気持ちが溢れそうになったときに頼りになるのはこんな哲学書です。個々の事象そのものへの対応方法よりも、個々の事象のその底流にある“核”のヒントを得るために、また厳しすぎる現実からの逃避のためにもこのような本は必要です。臨床哲学を掲げる鷲田先生。さすがに“老い”や“食”についての思考は秀でておられます。How to書ではありません。如何に自分自身の感性と共鳴することができるのか、自分自身の混沌を解くヒントになるのか、得心するフレーズにいくつ出会うことができるのか。終末期ケアへの必読書。2012/09/25

霜月無二

1
面白かった!連載エッセイとして執筆されたものに、加筆修正を加えてまとめられたのがこの本。そのような訳で、一章一章、そしてその中の一段落一段落が読みやすい長さになっている。多少理解出来ない所があっても読み進めていけばまた違うテーマが新しく始まってくれるのが初心者としては有り難かった。とはいえ、それまでに書かれてきたことを踏まえて論じている部分もあるので、章ごとに完全に独立しているとも言えないのだが。重要なことは章を跨いでも繰り返し出てきてくれるので、多少は初心者の自分の頭にも刷り込まれてくれたと思う。2011/01/03

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