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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
119
4大悲劇のひとつ。イアーゴの口車に操られてあまりにも無能なというべきか単細胞というべきか、まるごと単純に信じ込むオセローが実に「あはれ」である。経済学における「完全競争」が荒唐無稽であると同じようにオセローの反応は実に純粋に「荒唐無稽」であった。これも最後の修羅場への長い導入部であると思えば、シェークスピアの意図通りに読者ないし観客は有無を言わさず誘導されるわけである。悪役のイアーゴが主役のオセローを完全に食って足腰立たずの状態にしてしまったまさにシェイクスピア会心の名作である。2023/12/04
ehirano1
66
ロドリーゴー「・・・だけどどうしようもないんだ、おれの性格では。」、イアーゴー「性格!そいつは不正確だぜ!人間、これこれの性格でございますと言ったって、おのれ次第でどうにでもなるのさ(p50)」、と。この“巧さ”には膝をバンバン叩いて呻ってしまいました。2017/11/18
きいち
33
嫉妬に狂うオセローが愚かすぎてわけわからないけれど、その源のイアーゴーの動機も男の嫉妬、不自然さが気づかれないのは彼の普遍性によるものなのかしら。でもなんだか浅く感じてしまう。いまこの二人演じるとしたら大変だろうな。◇好きだったのは、イアーゴーの妻、デズデモーナに親しく接するエミリア。嫉妬は理由があるからじゃない、ただ嫉妬深いから嫉妬するんだ、とか、貞淑に対するプラグマティックな姿勢は全編の価値観を相対化してしまう。こういうキャラをちゃんと配しているあたり、シェイクスピア、流石。2019/08/11
藤月はな(灯れ松明の火)
33
シェイクスピア四大悲劇の内、この作品だけは今まで読んでいなかったのでやっと、読むことにしました。「嫉妬は緑色の眼をした怪物」という一文が強烈な悲劇。でもその根底にあったのはどんなに実力があり、理解者や高潔な気品があっても「黒人」というだけで差別された人間が疑心暗鬼にならざるを得ない過程だったのではないか。主人だとしても征服者である白人に仕えることは、オセローの「一人のムーア人」であり、武人としての名誉を永遠に損ねているという思いがあったのではないだろうか?男から娼婦呼ばわりされる女達が気の毒過ぎる2016/06/30
Major
23
何といっても、美しい響き、そしてウイットを含んだ箴言のように次々と繰り出される台詞(詩行)の心地よさが僕達を惹きつけて止まない。そして、自己責任を負う正しい悪人である(ということは、逆説的に半端な悪人でなくて、ある意味全うな人間であるかもしれない。)イアーゴの魅力がこの劇に深みを与えているのだ。仮に観劇をしなくても、彼の台詞からその魅力が迸るのを読み取ることができる。このことは、当時の演劇における最も重要な要素が演出や脚本にあるのではないことを意味する。4つのコメントへ続く2017/08/29
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