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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
109
本場英国でも「シェイクスピア全37作品中最も人気のない作品」とのお墨付きがあるらしい。物語はアテネの金満家貴族タイモンが人々に惜しみなく寄付、贈与などを続けるうちに自分のフトコロが底をついたため、人々に金を借りようとするもおしなべて断られ、人情の軽薄さに怒ったダイモンは人々を罵りつつ洞穴にもぐりこんでしまい、アテネが攻撃されたときに助力を求められても今更何を言うかと断る…というスジ書き。私的には面白かったが、女性も出て来ず恋愛場面もないなど、戯曲として見た場合の魅力度が今一つなのではないかと思う。2023/08/06
Major
50
『アテネのタイモン』の制作年は1605年〜1608年頃と推定されている。シェイクスピアが4大悲劇を次々と制作した頃と重なる。シェイクスピア全戯曲の中でも、これほど主人公の浮き沈みが激しい人生を描いたものは他にない。極端な寛大さから深い人間嫌い(ミサンスロピー)へと転落する男の物語である。およそ人間の考えうる嘆き、怨みの限りを尽くした独白の詩行に、かえって僕たちは共感とカルタシスを得るのだ。お勧めです。→2026/01/06
松本直哉
21
裏切られた友人らを晩餐に招き、料理の代りにお湯と石を出してそれらを投げつけながらタイモンが罵詈雑言の限りを尽す場面、再読の今回も強い印象を受けた。リア王に似た忘恩と裏切りの物語だが、違うのは、一つにはリア王の狂気に対してタイモンは一貫して正気であること、そしてもう一つは、リア王には孤独の中にも同伴者がいたが、タイモンにはそれがなく、訪ねてくる知人友人を悪態とともに追い返すこと。人間への不信と憎悪が、ここまで研ぎ澄まされた形で描かれる劇はほかにあまりない。ソドムとゴモラを呪う神のようにアテネを呪うタイモン。2018/10/27
有沢翔治@文芸同人誌配布中
11
酷評されているらしいけど、僕は好き。他の作品に比べて確かに平坦な感じはする。それにたまたま金貨を発見するとかご都合主義だけど、ペリクリーズはもっとご都合主義……。 コリオレーナスも愚民を滑稽に描いて面白かったけど、アテネのタイモンもそれに劣らぬ面白さ。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51487111.html2017/05/20
ヴェルナーの日記
11
数多くあるシェークスピア作品の中で、比較的マイナーに位置づけされる本作である。その理由は作品自体が未完なのではないかという疑惑と、作中のほつれがあるからだ。種本はプルターク英雄伝の「アントニー伝」であり、シェークスピアの他の作品にもタイモンのことが出てくるので、彼の時代においては、メージャーであったのかもしれない。本作の見所は、前半と後半におけるタイモンの変容ぶりであろう。2010/11/15
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