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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
370
フランス王女をはじめとして、登場する女たちはみんな揃って余裕を持って振る舞っている。一方の男たちは、なんだかいつも浮き足立っているかのようだ。もっとも、そういった状況を作り出すためにシェイクスピアが、開幕に先立って誓いを立てさせるという仕掛けを施していたのではあるが。その渦中にありながら、これを相対化する役割を持つのがビローン。テーマの上からは、そうした男たちの軽薄さ、馬鹿馬鹿しさを笑いのめすことにあるのだろうが、同時に本作では詩人でもあるシェイクスピアが、宮廷貴族たちの過剰な詩的表現趣味をからかうこと⇒2022/03/15
まふ
101
上演数が比較的多く人気のある喜劇のようだ。ナヴァール王の宮廷を訪ねたフランス王女という設定は、実在のアンリ4世とマルグリット王女が原型とされる。学問貫徹のため自らに厳しく律しようと努力する王と家臣団だが、美しい王女と侍女たちの魅力に負けて「愛」を告白したところ、1年間のお預けを約束させられる。ルイ14世のような絶対強権的な王ではなく家臣たちと共同生活をしているような友達的な王の存在でありどことなく親しみを感じる。2023/08/12
さり
15
P12苦しんで手に入れたものから苦しみだけをもらうことが最もむなしい P13.たえずこつこつ研究をかさねるものが手に入れるのはなに一つありません。 P14.知識が多いのはおおいなる虚名を得るだけのことです 学歴を批判してる部分が最初ら辺にある2024/04/05
白義
12
恋愛、異性を断ち切ることを誓った王と貴族の四人組があっさり女に惚れてしまい右往左往する単純なストーリーに、ありったけの言葉遊びを塗りたくった言語センス特化型作品。メインキャラは学問を重んじるインテリが多く、そのインテリが恋においてはいかに滑稽で過剰な言葉遣いになり女性から見ると気持ち悪いのかというのを暴露した意地悪さに笑う。自分は棚に上げ他の三人をからかおうとし恋がバレたら屁理屈でそれを正当化と、四バカたちの滑稽味溢れる姿は面白いしこじんまりしているが破綻もなく悪くない。シンプルだが技巧が前に出た初期喜劇2015/12/13
有沢翔治@文芸同人誌配布中
11
ナヴァール王国の王様が学問を繁栄させるため、貴族三人と禁欲的な誓いを交わす。三年間は女にうつつを抜かさないこと。しかし貴族の一人が掟を破り……。シェイクスピアの戯曲でも評価は高くないらしいけど、ストーリー展開が現代のラブコメにもありそう。ありきたりと非難するつもりはなく、何度も焼き増しが繰り返されるほど受け継がれているのだろう。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51495380.html2018/03/23