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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
103
アラゴン領主ドン・ペドロのスネモノの弟ドン・ジョンの謀りごとによる清純な男女クローディオとヒーローとの結婚妨害のたくらみがバレて失敗し、元のカップルに戻るまでのドタバタ喜劇。とくにこれという特徴もないいつものシェークスピアではあるが、花嫁花婿の友人であるベネディックとベアトリスという<悪口を言い合うほど好き同士>の二人の掛け合いが面白い。道化は出て来ず、シェークスピアの作品としてはプレーンな「原型的作品」ではないかと思う。2023/09/10
有沢翔治@文芸同人誌配布中
12
言葉遊びが面白い。しかし、シェイクスピアを多く読んでると、展開が読めてしまうのが残念。喜劇としては面白いんだけどね。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51491631.html2017/10/21
roughfractus02
7
戦略的な作者は、中世の民衆的言葉遊びをNothingなる語に含ませ、その多義性を男女4人に分担して2組のカップルに収まる物語を楽しむ観客をも操作していたのだろうか。当時発音が同じ語Noting(気づき)に至るまでの男女の舌戦(ベネディックとベアトリス)と縁結び役の活躍、そして陰謀によってNothing(争いのない)なカップル(クローディオとヒーロー)が互いの不貞を疑う騒動が並行する中、結局恋愛の目的はNothing(当時の俗語で女性器を表す)だ、という下世話さが観客を物語から日常に戻すように思えてくる。2019/12/06
牛歩
6
読了直後は「良くも悪くもオーソドックスな話」という印象でしかなかったのだが、舞台にかけた場合を想像して考えを改めた。登場人物が揃いも揃って右往左往するさまは、さぞ面白いだろう。「何かが残る」という類の話ではないが、むしろ観客になにも残さず「アハハと大笑いしてお終い」というのは、喜劇としては凄く真っ当なのだと思う。2013/10/30
Viola
5
なんでもないことに大騒ぎ。Much ado about nothing。ベアトリスとベネディックの掛け合いが面白かった。2019/12/22