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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
110
再読。忙しいのにまた読んでしまった(読書録を見て読んでいることを発見した!!)英国歴代王中稀代の悪王とされるリチャード3世の物語。せむしでビッコの見るからに悪人的風貌のリチャードが詭計を巡らして目の前の目障りな人物をことごとく暗殺し王位に就く。この男の弁舌のキレは古今超一流だ。黒を白と信じさせる見事な腕前が遺憾なく発揮されて「本当に悪人だなあ」と思わせる。とりわけエドワード4世夫人のエリザベスをコロリと味方につける弁舌、とーー何度読んでも同じような感想で進歩がない自分にガッカリ。2023/12/25
Y2K☮
33
色々な意味でリチャードの独り勝ち。黒い太陽。他のキャラも各々個性はあるけど、結局は彼の周囲を公転するだけの有象無象。物語も微妙。夫を殺した憎い相手に熱烈に口説かれてあっさり結婚とか(リチャードがイケメンだったらTLマンガとして成立するかもしれない)。いくらなんでも女性をバカにしていると思うけど、野心の為ならそこまで卑屈になれるリチャードの良心の無さが少し眩しい。局面に応じて自分を捨てられるのも勝者に必要なメンタリティ。営業マン時代はそれでまあまあ結果を出した。内容重視。でもここぞの時は何しても勝たなきゃ。2018/07/13
Major
32
4回の読了を記録しながら、オルハン・パムク『わたしの名は赤』の章立てを擬した『リチャード三世』のレビューをようやくまとめれた。『ヘンリー六世』に続いて書かれた初期の作品で、シェイクス27歳の時に初演されている。史劇と分類されているが、他の史劇とは異なる要素が多々見られる。「王国の代償に馬」と叫ぶ超俗物の悪漢グロスターの「騙り」と「独白」がこの戯曲を進行させている。主人公グロスターの特異な性格によって引き起こされる事件を展開した劇という見方からすれば、僕達はもはや性格劇とも読取ることができると思う。2020/02/09
Major
31
本作品のレビューをパムク風にまとめてみたいと考えている。シェイクスピアの作品は様々な登場人物の語る台詞(言葉)や独白のポリフォニー文学とも言える。とりわけ、この『リチャード三世』に出てくるモノローグはその数といい、その言の葉の膨大さは、シャイクスピア全作品中の1・2位を争うだろう。したがって、そのレビューを綴るにあたっては、『わたしの名は赤』風の〈1人称で綴るモノローグのポリフォニーとも言える表現技法〉はよく馴染むであろうと僕は考えた。小田島さんの名訳のように、巧く言葉遊びができればよいのだが・・・。 2019/12/31
Major
25
○わたしの名は「呪い」 わたくしの名は呪いですわ。わたくしの手にかかれば、皆様の人生をより華やかに艶やかなものにしてあげますわよ。わたしを使った方も、使われた方もですわ。わたしが憑依した時の人間たちの様子と言いましたらそれはもう麗しいですわよ。次から次へと星が降るように言の葉が煌めきながら舌の奥から出てくる出てくる・・・・それはもう銀河のごとくですわ。「カタリ」のあの舌先三寸の下郎などとは格が違いますわ。よくもまあ、人間というものは、あんなに他人に関心があるものだと、憑依したわたくしも舌を巻いてしますわ。2020/02/06
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