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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
118
シェイクスピア初期の喜劇。美人の姉/妹を持つ美人ではない姉/妹がふて腐れて言うことをきかないという状況は、今日どの家庭でもありそうだが、シェークスピアはそれを力づくで抑え込んで性格矯正させるという方法を取り、成功させる。さりながら、性格の悪いキャタリーナがある時から急に無抵抗になってペトルーチオの言いなりになる、という流れはいささか単純すぎて説得力が弱い。また、シェークスピアお得意の他人への成り代わり設定もこの作品ではいささか多すぎてやや混乱気味である、と思った。2023/08/31
てち
96
本作はシェイクスピア作品の中で喜劇にあたる。アリストテレスが、「動物の中で笑うのは人間だけだ」と言ったように笑うことは人間の特権である。こんなつらい時期だからこそ喜劇を読み、笑う。それに尽きる。2020/05/22
きいち
26
?なんでじゃじゃ馬キャタリーナが態度変えちゃうんだっけ?まあもともとがなぜじゃじゃ馬と呼ばれるくらい世間に反抗していたのかさっぱり語られていないし想像の糸口すらないから細かいこと言ってたらだめなのか。エロってわけでもないしな…。そもそも酔っ払いをからかうためにしたてられた劇中劇、都合よいファンタジーにうんうんうなずいてるオッサンをあざ笑うための劇なんだもんな。とすると、その時代普通だったかもしれない物語を、外枠かけて馬鹿にする構図なのか?こんな風に持って回ってかんがえなきゃなんないくらい楽しめなかった。2019/09/01
ネロ
19
結末のどんでん返し感はシェイクスピアならではの面白さ。しかし、いかんせん今の時代にはそぐわない成り行きで、じゃじゃ馬である嫁を手懐けるために食事と睡眠を与えずのほとんど虐待まがいなことをして、誰よりも問題児な女がが結果誰よりも従順で良い妻になりましたとさって、おいおい(笑)。2023/04/28
白義
16
じゃじゃ馬娘の心根をその花婿が寝食を断ち更なるじゃじゃ馬として振る舞うことで矯正する、というメインストーリーは現代から見ると虐待を越えてカルト的なマインドコントロールそのものなのだが、これがただの酔っ払い親父をからかう形で見せられた劇中劇だと理解した上で見ればなかなか意味深長だ。常に女に怒鳴られ惨めな生活を送るおっさん。そんな男にとって、女房に対し暴君として振る舞うことで理想の妻が出来上がるという劇はまさしく夢に見るファンタジーであり、その夢想を見る男を我々が更に見るという二重構造が成立しているのである2015/12/10